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「女性を何だと思っているのか」SNSで炎上、県にも苦情…秋田県配布の"プレコン"冊子が物議 専門家の考えは

2025年2月28日 17:23
「女性を何だと思っているのか」SNSで炎上、県にも苦情…秋田県配布の"プレコン"冊子が物議 専門家の考えは

「プレコンセプションケア」という言葉をご存じでしょうか?

将来の妊娠を考えながら、女性や夫婦、それに恋人同士などが、自分たちの生活や健康に向き合うことで、略して"プレコン"とも呼ばれます。

正しい知識を身につけることで、健康な生活習慣の習得につながるヘルスケアとして、近年注目されています。

このプレコンを巡って、県が高校生などに配った冊子が、いま、物議を醸しています。

卵子の老化の表現方法などにSNS上で批判が集中していて、県にも苦情が寄せらせています。

価値観や生き方が多様化する中、思春期からの健康に対する考え方のいまを、専門家に聞きました。

SNSを中心に批判を浴び、いま注目されている冊子。

妊娠や出産に関する正しい知識を身に付けてもらおうと、県が2020年度と2022年度、それに2023年度に、県内の高校2年生や市町村に配布しました。

2013年に東京の一般社団法人が作成したもので、県は3万部あまりを配るために、約300万円を投じました。

問題視されているのが、表紙を開いてすぐのページ。

年齢を重ねるごとに卵子の元となる細胞の数が減ったり、老化したりする様子が描かれています。

35歳を過ぎたところでは…。

「熟女キラーです」
「まだいけるかしら?」

シワの寄った卵子を"熟女"と表現する精子。

さらに、50歳で閉経した状態は"閉店"と書かれています。

「えっ、もう会えないの?」

将来の妊娠を考えながら、女性や夫婦、それに恋人同士などが、自分たちの生活や健康に向き合う、プレコンセプションケア。

その一環で県が配った冊子として、先月、あるウェブサイトに取り上げられると、SNS上には批判的なコメントが集中。

いわゆる炎上状態になりました。

「女性を何だと思っているのか」
「こんなものを子どもに配るなんて絶望しかないんだけど」
「秋田終わりすぎでは?」

県には、これまでに、理解を示す声が4件寄せられた一方で、9件の苦情がありました。

70歳女性
「ちょっとショックですね。ずいぶん年の離れた下の人たちの話ではあるんですけど、ちょっといかがなものかなと思いました。ビックリです」

21歳女性
「男女平等の本っぽそうなんですけど、表面は中身で女性を下げるような表現というかされているのが良くないのかなとは思いますね」

30歳女性
「あ、じゃあもう出産するの諦めようとか思う人も出てくると思うので、あんまりいい表現ではないなと思います」

実際に高校生の時に配られたという男性は。

20歳男性
「思春期の我々には一番刺さりやすい、分かりやすいかもしれないっすね」

18歳女性
「知識が無いよりはいいんじゃないですかね」

18歳男性と16歳女性
「(知識は)大事だけど、言葉選びをしっかりしましょうみたいな感じですね」

「若いころから妊娠や出産に関する知識を身に付けておくべきだった」。

冊子の配布は、不妊に悩む人たちからの切実な声を受けたものでした。

その上で県は、「冊子を選定する過程で配慮が足りない部分があった」と釈明しています。

武蔵野大学 看護学部 坂上明子 教授
「やっぱりこれだったらいろいろ高校生が気になるのはあるだろうなっていうのが率直な感想です」

武蔵野大学看護学部教授で、日本生殖看護学会理事長の坂上明子さんです。

プレコンセプションケアでは、国内の出生率の現状や背景、セクシャリティに対する多様な考え方などを理解したうえで、発達段階に応じたアプローチが重要だと指摘します。

武蔵野大学 看護学部 坂上明子 教授
「女性の年齢を制御しても、男性の年齢が高いと流産につながりやすいとか、お子さんの先天異常の起こる割合が高くなるとか、そういうことも分かっているんですね。ですので、実は男性もすごく重要なんですよ」
「いま妊娠を計画していなくても、健康管理をきちんとしていかなければいけないということもありますので、そういうことを伝えていくためにも、プレコンセプションケアっていうのはすごく重要なことだと思いますし、今回の炎上をきっかけに、みなさんが正しい知識を持っていただけるというのは、すごくいい機会かなっていうふうに思っています」

県は、策定を進めている秋田県こども計画に、プレコンセプションケアの推進を盛り込み、思春期からの切れ目のない健康づくりにつなげたい考えです。

最終更新日:2025年2月28日 18:50
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