御嶽山の噴火災害 8年ぶりに大規模捜索 いまだ見つからない5人を家族のもとへ帰すために
御嶽山で8年ぶりに行方不明者を探す家族らが大規模な捜索を行いました。
愛知県刈谷市に住む野村正則さん。
今月24日、まだ帰らない甥を見つけるため御嶽山の頂上を訪れていました。
2014年に御嶽山が噴火。58人が死亡し、今も5人が行方不明のままとなっています。
そのうちの1人、野村亮太さん(当時19歳)。
叔父の正則さんと登山中に噴火にあい、迫り来る噴煙の中、八丁ダルミという尾根ではぐれ、今も行方がわかっていません。
噴火以来、立ち入り規制が続く八丁ダルミ。特別な許可を得て、これまで正則さんたちは自主捜索を行ってきました。
去年の捜索では、噴火で亡くなった男性の帽子などが8年たってもなお、見つかっています。
そして今回、4度目の捜索に向かいます。
野村正則さん:
「あの日、亮太と最後に別れたときの思いは、今でも明確に覚えていて。もっとしっかり噴火直後に探していれば。9年たって連れて帰れたら…そんな思いで捜索したい」
兄であり、亮太さんの父である敏明さん(63)とともに、八丁ダルミの中へと向かいます。
岩の前に花を手向けるふたり。亮太さんのリュックが見つかった場所です。
長野県や地元協力者など50人ほどで、2日間かけての大規模な捜索。
噴火の翌年に捜索を打ち切って以来、8年ぶりに県が関わったのにはある理由がありました。
去年、八丁ダルミにシェルターが設置されたことにより、2つの登山道の規制が、今月29日から解除されることになったのです。
一方で、規制が解除されれば、一般の登山者がいる中での大がかりな捜索は難しいと考え、今回の捜索が実施されることに。
正則さんには、ずっと捜索を望んでいた場所がありました。
野村正則さん
「あの尾根伝いに、もしかしたらずっと下まで下った可能性もあるんだよね。そのときにこういうところに滑落したんじゃないかな」
亮太さんが逃げたとみられる尾根の先とその東側の「本谷」と呼ばれる谷。
8年前は捜索が困難だったというこの場所への立ち入りも可能に。ドローンでもくまなく捜索を行います。
2日目の朝。この日、正則さんは還暦を迎えました。
野村正則さん:
「一番ベストは何らかの手がかりを見つけて、連れて帰れたらそんなうれしいことはない。いい誕生日プレゼントになる」
亮太さんが逃げたとみられる尾根のさらに奥へ。
最後はリュックが見つかった岩場まで戻り、周辺を総出で捜索します。
野村正則さん:
「どうして出てこないんだ、もしかしたら今、自分の下にいるんじゃないかとか。もしかしたら自分の足で踏んづけて、そのまま素通りしてる可能性もあるんじゃないか」
約5時間かけての捜索が終了。
2日間で新たに見つかった物がありました。
山びこの会 シャーロック英子 事務局代表:
「行方不明者が逃げたであろう場所で見つかったので、近辺にいた方の物ではないか」
帽子やサングラス、リュックカバーなど10点。
現在、木曽警察署に届けられており、被災者家族の会で噴火直前の写真と照らし合わせ、持ち主を探すということです。
しかし、亮太さんの手がかりについては見つけることはできませんでした。
野村敏明さん:
「長野県による捜索が今後あるのか、最後かはわからないけど、次につながる捜索への布石にはなったのでは」
野村正則さん:
「父親以上とは言わないけど、私は『連れて行った』という思いがあるので、なんとしてでも私の体力が続く限りは…そういう思いはある」