新1年生に“ランドセル無償配布”スタート! でも…3分の2以上が「受け取らない」のはなぜ? 希望しない家庭には祝い金を支給 岐阜・下呂市

新1年生に市がランドセルをプレゼント
岐阜県下呂市で用意されていたのは、一般的なものとは少し違うランドセル。A4サイズの教科書が入る大きさでありながら、軽量で通学の負担にならず、かつ耐久性もある、大手アウトドアメーカーが作った1万5000円ほどのものです。
しかし、なぜ市がランドセルを用意したのでしょうか。
下呂市教育委員会 曽我晶子 さん:
「こちらは今年春に入学を迎えるお子さまに、下呂市からの贈呈品としてお渡しする形になります」
なんと、子育て支援の一環としてランドセルの無償提供を決めたのです。
ランドセルの価格は年々値上がりしていて、総務省のデータによると、東海地方では20年前と比べて約2倍高くなっていて、6万4000円ほどになっています。
市が未就学の子どもを持つ保護者にアンケートを実施したところ、ランドセルの無償提供に約65%が賛成と回答したため、初の取り組みとしてスタート。2025年4月に小学1年生になる59人が、このランドセルを使うことになっています。
3月6日午後3時すぎ、いよいよランドセルの無償配布が始まりました。初日は14組の親子が受け取る予定。
ランドセルを受け取った子どもたちは、笑顔を浮かべながらうれしそうに背負っていました。中には大事そうに抱える子も。保護者からはこんな声も聞こえてきました。
保護者:
「これから子どもの体操服とかにお金がかかってくるので、ランドセルに使う予定だったお金は他の物に使っていきたいなと思います」
3分の2以上は無償でも「受け取らない」
下呂市で無償配布されたランドセル、実は全員が受け取るわけではありません。
同市で2025年4月に新1年生となるのは196人ですが、ランドセルを受け取らないのは137人と、全体の3分の2以上になっています。
保護者にアンケートを実施したところ、ランドセルを希望しなかった理由として「すでに購入済み」「プレゼントしてもらう予定」「好きなものを購入したい」という回答が多かったということです。中には「経済的支援がありがたい」「ランドセル限定ではない方がいい」などの意見も。
無償配布のための補正予算案が提出されたのが2024年12月だったことも影響しているようです。
こうした状況に市は、ランドセルを希望しない家庭には、今回無償配布するランドセルの価格と同等の1万5000円を、入学祝い金として支給することを決めました。来年度以降もランドセル無償配布は続ける方針で、入学祝い金についても継続したいとしています。