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「中学受験に向いている子は…」 受験のプロが“中学受験”と“高校受験”のメリット・デメリットを解説 最近の中学受験は小3スタートが当たり前!?【2025受験事情の最前線 #1】

2025年3月6日 12:00
「中学受験に向いている子は…」 受験のプロが“中学受験”と“高校受験”のメリット・デメリットを解説 最近の中学受験は小3スタートが当たり前!?【2025受験事情の最前線 #1】
中学受験と高校受験のメリット・デメリットは?

首都圏では“お受験戦争”ともいわれるほど過熱している中学受験。毎年2月の受験シーズンになると、テレビやネットでも受験関連のニュースが飛び交いますが、多くの保護者が迷うのは「自分の子どもはどういう進路をとればいいのか?」ということ。

中学受験をして中高一貫校に通い、大学受験をするのか。それとも地元の公立中学に通い、高校受験を経験して大学に行くのか。子どもの人生を左右するかもしれない大きな選択に、頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。

そこで、中学受験と高校受験、それぞれのメリット・デメリットについて、受験のプロである学歴研究家の伊藤滉一郎さんに解説してもらいました。

◆大学受験のアドバンテージに 中学受験4つのメリット

■中学受験のメリット①「先取りで大学受験の対策ができる」
中学受験をして私立の中高一貫校に入れば、中高6年間を途中で足踏みせずにエスカレーターで進めるので、先取りで大学受験の対策ができます。有名な私立の進学校だと高校2年生までに大学受験の範囲は1周して、最後の1年間はひたすら過去問の演習をやる。そういうことはやはり公立中学・公立高校のルートではできません。難関大学を目指すのであれば大きなメリットですね。

■中学受験のメリット②「最低限の学歴が保証されやすい」
私立中学には教育熱の高い人が集まっているので、周りはみんな大学を見据えています。中学の段階で、そこから大きくドロップアウトすることがなくなるのもいいと思います。

■中学受験のメリット③「教育の質が高い」
公立中学では、幅広い学力の生徒を対象にした教育が行われます。ICT教育なども私立に比べると一歩遅れてしまうところもあるので、やはり教育の質は、お金がかかる分、私立のほうが良くなりがちです。

■中学受験のメリット④「人脈」
私立の特に男子校ともなると少し特殊な空間です。そういう空間で6年間思春期を一緒に過ごした、その結束というのは他に代えがたいものなので、大人になってからも関係性が続きやすいのはいいところだと思います。

中学受験のメリットを4つあげましたが、特に東大受験や国立の医学部受験を検討している場合は、中学受験がアドバンテージになるのは間違いないです。もちろんトップの公立高校からの合格者も出ていますが、データを見ると、そういう子はだいたい1浪しています。公立高校では共通テストの直前にようやく範囲が終わるので、大学受験に間に合わないケースが多い。難関大学に現役で受かる人の率を見ると、中高一貫校が圧倒的です。

◆中学受験にはない英語が将来ネックに? 中学受験4つのデメリット

■中学受験のデメリット①「費用が高額」
最近、中学受験にかかる費用と対策期間が伸びています。一昔前だと小学5年生から塾に入れば、それなりの中学であれば間に合うと言われていましたが、今は小学3年生の2月から塾に入るのが当たり前になってきています。私立中学に入学するまでにかかる費用は300万円以上、入学後も6年間高額な学費が必要です。それはまず大前提として押さえておいてください。

■中学受験のデメリット②「燃え尽き症候群になるリスクがある」
特に小学校2~3年生という早い時期から頑張った子にありがちですが、小学校時代に勉強漬けだった子が、中学生になって反抗期を迎えると、大学受験まで全く勉強をしなくなる「燃え尽き症候群」の子が一定数生まれてしまう。そういうリスクはありますね。

親主導ではなく、中学受験を自分事として捉えて勉強する子は、放っておいても大丈夫。中学生高校生になっても自分で勉強します。最難関校にも完全に親主導で中学受験をした子はいますが、そういう子は燃え尽き症候群になりやすいです。

■中学受験のデメリット③「英語力が不足しやすい」
中学受験は、国語、算数、理科、社会の4教科なので、大学受験で初めて英語の受験を経験することになります。英語は文系も理系も逃げられない主要科目。中高6年間、ずっと英語の授業をサボってきた子が大学受験を迎えると、どこも受からなくなるんです。親主導で中学受験をして燃え尽きてしまった子が、英語力不足が原因で大学に行けないという話は、よく聞きますね。

■中学受験のデメリット④「中学受験の算数が大学受験の数学と直結しない」
特に首都圏で感じるのは、中学受験であれだけ難解な算数の問題を解いてきたのに、最終的に数学を捨てて私立文系に行くケースが、特に女子校に通っていた子にすごく多いということ。

高校受験の数学は大学受験の数学と連続していますが、中学受験の算数は小学校の教科書の範囲から逸脱しないようにテストが構成されていることもあり、やはり数学という学問とは少し距離がある。極端な話、小学4年生くらいから数学をやらせていたほうが、結果、数学から逃げなくなるんじゃないかとすら、僕は考えています。

◆多様性では公立に軍配が 高校受験4つのメリット

■高校受験のメリット①「内申点が加味される」
高校受験は内申点が加味されるので、ずば抜けた受験適性がなくても、生活態度が模範的であったり、生徒会やボランティアをやっていたりすれば、内申点パワーである程度は上位校が狙えます。

■高校受験のメリット②「大学受験に直結しやすい」
高校受験から大学受験までは期間が3年しかないので、中学受験と比べて受験の知識がより狭い期間で活かされやすいというメリットもあると思います。

■高校受験のメリット③「コミュニケーション能力やバランス能力が鍛えられる」
これは結構、僕としては推しポイント。

公立中学は学力もバラバラですし、いろいろなバックグラウンドを持つ子どもたちが混在している社会の縮図のような空間です。一方、私立中学は教育熱心で経済的にも恵まれている人しかいないという空間。そういう均一化された空間よりも、世の中にはいろんな人がいるというのを15歳くらいまでに実感できるというのは、なかなか代えがたい経験です。

大学を出た後、多くの人はマスに関わる仕事に携わることになるので、やはり一般的な感覚は身につけておいたほうがいいと思いますね。

■高校受験のメリット④「小学校時代にやりたいことができる」
中学受験は、小学3年生の2月から丸3年がかりの一大イベント。中学受験組は、小学校後半の3年間は塾が一番プライオリティが高い生活を送ることになります。中学受験をしなければ自分の好きなことにリソースをさけるので、そこは大きなメリットだと思います。

◆公立は進学校でも浪人ありき? 高校受験2つのデメリット

■高校受験のデメリット①「教育レベルは私立に劣る」
公立中学は公教育なので、学力が上から下までさまざまな生徒がいる中で、みんなにわかるような授業をしなければいけません。難関大学を目指す場合、高校に入った後の3年間で一気に巻き返さないといけないところはデメリットだと思います。コロナ禍にICT教育をいち早く導入したのも私立でしたし、資金力も違うので、教育の質の格差はやはりあるかなと思います。

■高校受験のデメリット②「大学受験の準備期間が短い」
公立高校では、3年生の文化祭を一生懸命に取り組んだり、高校3年生の秋まで部活があったりするところもあります。カリキュラムも遅いので、やはり私立に比べると、かなりのディスアドバンテージになってしまいます。進学校でも浪人ありきで考えている生徒も多く、愛知県トップの旭丘高校の生徒でさえ「高校は4年制だ」と言っているくらい。6割ぐらいが浪人する年もあるそうです。

◆公立高校から難関大学に入るには?

東大や国立医学部などの難関大学を目指したいのであれば、公立高校の進学校に入っておく必要はあります。

特に地方では、最難関の大学を目指せる高校が数校しかないことも珍しくありません。東大に行くような学校が2~3校で占められている都道府県もあるので、当たり前ですけど、やはりそういう学校には入っておいてほしいですね。

高校に入学する前に中学範囲の完全理解を目指すのも、すごく重要です。高校入試に合格してから入学までの1か月で勉強して、中学範囲では取りこぼしのないような状態にした上で、高校でスタートダッシュを切りましょう。

そういう意識が高い子は、大学受験も成功する。それは間違いないと思います。

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【プロフィール】
学歴研究家 伊藤滉一郎さん
早稲田大学を卒業後、大手金融機関に就職するも、人生をかけて学歴と向き合うことを決意して退職。現在は学歴研究家として、小・中・高・大学受験はもちろん、受験と呼ばれるもの全てをリサーチ研究し、その成果をYouTubeで毎日発信している。SNSのフォロワーは10万人超え。
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最終更新日:2025年3月6日 12:00
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