真央ちゃんから受け継いだ「努力の才能」 引退表明の宇野昌磨選手 トップスケーターへ押し上げたもの
フィギュアスケートの宇野昌磨選手が9日、自身のSNSで現役を引退すると発表しました。早すぎる引退を惜しむ声もあがっています。
世界のトップで戦い続けた宇野昌磨選手 引退を惜しむ声が続々
2度のオリンピックで3つのメダルを獲得した名古屋市出身のフィギュアスケーター・宇野昌磨選手（26）が、自身のインスタグラムで突然、引退を発表しました。
【宇野昌磨選手のInstagramより】
「みなさま、こんにちは。宇野昌磨です。このたび現役を引退する決断をいたしました。5歳の時にスケートと出会い、21年間続けることができ、すばらしい競技生活を送れたことに、とても感謝しております」
7歳年上の浅田真央さんに誘われ、スケートを始めた宇野選手。難度の高いジャンプを跳び、幼い頃から注目を浴びていました。
初めて出場した2018年の平昌オリンピックで見事に銀メダルを獲得し、2022年の北京オリンピックでも団体の銀、個人の銅と2つのメダルを獲得。そして、2022年からの世界選手権を連覇し、世界のトップに立ったのです。
2023年のインタビューでは、頂点に立つ者ならではの赤裸々な心境を語っていました。
宇野昌磨選手（2023年）：
「毎年心境の変化は大きくて、まだやりたいことがある。やれていないことがたくさんある。今もそれは変わってないけど、本当に自分で選択できる今後の道を、やりたいことを選択できるようになったなと感じた」
突然の引退を知った街の人は「今の世代だとトップクラスかなと思うのですごく残念」「引退されたってことはプロに移行されるんですよね？ わからないですか」と、早すぎる引退を惜しみながらも、今後が気になるという声も聞かれました。
幼い頃の宇野選手を指導していた山田満知子コーチは、引退表明について「残念だなというのもありますし、いいんじゃない？ 彼も何か新しく自分のスケートに対する魅力が、また違う方向に向いたと思うんですよね。また新しい宇野昌磨を見せてほしいと思います」とコメントしています。
5年ほど前から宇野選手のシューズをメンテナンスしているシューズラボの橋口清彦さんは、今年3月に宇野選手と会話した時は、これまでと変わらずスケート靴について話し込んだそうですが、突然の引退発表をうけて「もっと楽しくスケートが滑れるようになってくれたらいい。そのお手伝いができたらうれしいなと思います」と話します。
今後について宇野選手は、「今月14日に開かれる引退会見でお話させていただきます」とインスタグラムに綴っています。
「トップに行くには当たり前」 浅田真央から受け継いだ“努力の才能”
宇野選手がフィギュアスケートを始めたきっかけが浅田真央さんだったのは有名な話です。宇野選手自身も2022年のインタビューで「真央ちゃんがやっているから、フィギュアやるっていう感じだった。フィギュアをやっていなかったら人生が変わっていた」と明言しています。
同じリンクで練習していた浅田真央さんは、当時の様子を、このように語っています。
浅田真央さん（2022年）：
「幼稚園の時に、初めてリンクに来たころから知っています。ジャンプが跳べなくて悔しくて泣いていることが多かったので、そのころからの強い気持ちが今につながっていると感じますね」
中京テレビには、8歳の宇野選手が練習する様子を映した映像が残っていました。この日は調子が良くなかったのか転んでばかり。ようやく跳べたかと思ったら、納得がいかなかったのか、リンクに響き渡るほどの大声で泣き出してしまいました。それでも練習を止めることはなく、何度もジャンプを繰り返していました。
スケートを始めたころから宇野選手を手塩にかけて指導してきた山田満知子コーチは、2015年のインタビューで宇野選手の強さの秘密について「まじめなんだよ。嫌な時もあるんだろうけど、まじめだからやんなきゃと思ってやってるんじゃない？ よくやってる。そんなにしなくてもいいと思うぐらい練習してますよ」と語っています。
この「努力の才能」も、浅田さんから受け継いだものでした。
宇野昌磨選手（2022年）：
「ずっと氷の上にのって練習し続ける、それが自分にとって“努力” だと思わなかった。そう思わせてくれたのが真央ちゃんで。ヤバいんですよ、滑っている時間とか、練習量が。それがトップに行くには、当たり前に必要だと思ったので」
9歳の時に出場した全国大会では鮮やかなジャンプやキレのいいステップを披露し、初優勝。小学6年生の時のジュニアの全国大会では圧巻の演技を披露して、羽生結弦選手とともに表彰台へ上がりました。
その後、世界選手権優勝やオリンピック銀メダルなど、輝かしい成績を収めた宇野選手。来週火曜日に引退会見を予定していますが、決断の背景にどんな思いがあったのか、そして引退後はどんな道を目指すのか、注目です。
