【冬の味覚】ことしもカキ小屋が続々オープン 夏の記録的な猛暑で異変も「寒くなれば大きく」福岡
これから旬を迎える冬の味覚「カキ」に、異変が起きています。記録的な暑さの影響で、水揚げされるものの多くが死んでいて、生産者は頭を抱えています。
25日午前、福岡県福津市の津屋崎漁港で行われていたのは。
■石田旭昇アナウンサー
「地元の高校生がカキの選別作業を行っています。」
水産高校が授業の一環として行っているもので、3年生36人が参加しました。生きているカキと死んだカキ、殻をたたいて音を聞きながら選別します。
■生徒
「(身が)入っていたらあまり音が響かない。(入ってなかったら)空みたいな音がします。」
ただ、選別が進むにつれ、死んだカキの殻がどんどん増えていました。
10月上旬から水揚げを始めて、半数以上のカキが死んでいた状況だといいます。
■宗像漁協 津屋崎地区・赤間幸明 監事
「悪いですね。死んだカキが6割を超えていて、例年と比べて収穫の量が少ないです。水温の上昇です。夏バテしたカキがもう1回ダメージを受けて死んでいます。」
猛暑の影響で生きたカキは少なくなる一方で、一つ一つにうま味が凝縮され、例年以上の味になるのではとの期待もあるということです。
10月上旬からカキ小屋が順次オープンしている福岡県糸島市では。
■元木寛人アナウンサー
「今カキが水揚げされています。このようにびっしりとついています。」
■カキの生産者・古藤海星さん
「口が開いてるもの、中身がない。(死んでいるのは)6割から7割です。死んだカキが多いですね。上げてきた分、死んだカキが出る感じ。」
さらに。
■古藤さん
「きょうも成長が遅いのが目立つ。サイズ的にも小さい。」
画面右側のカキが、この時期の理想的なサイズに近いということですが、多くが左側のような小ぶりだということです。糸島漁協によりますと、周辺の海水温は去年よりも2℃ほど高く、その影響が考えられるということです。
小ぶりなものはカキ小屋で提供できないため、再び海に戻し成長を待ちます。
そうした中ですが、10月5日から今シーズンの営業を始めた糸島市のカキ小屋には、出始めのカキに舌鼓を打つ客の姿がありました。
■訪れた人
「ちょっと小ぶりだけど、味わい深くておいしいです。」
「なかなか東京だとカキ小屋がないので、ちょっと食べてみたいなと思って。」
「おいしい!」
店の人は、サイズこそ小さいものの、この時期しか食べられない味を楽しんでほしいと話します。
■のぶりん・古藤広子さん
「今は初物で、今の良さ、濃厚さがあります。今が一番海に近い味。この先、寒くなるとまた海のミルクのような、白くプリップリのカキが食べられると思う。」
糸島漁協では。
■糸島漁業協同組合・鹿毛俊作 業務課長
「カキって寒い時期に生き残る生き物なので、今から寒くなればすぐグっと大きくなって、1週間でものすごく成長します。」
冬の味覚にも影響を及ぼすことしの記録的な暑さ。平年並みの気温となるのは、12月からの見通しです。