海洋散骨・神前葬をフランチャイズ展開 「収入ゼロ」から年商1.4億円の「稼ぐ神社」に 九州最北端の和布刈(めかり)神社
遺骨を海にまいて供養する海洋散骨のデモンストレーションが4日、北九州市で行われました。手がけるのは資金難に苦しんできた歴史ある神社です。存続のため「稼ぐ神社」として変貌を遂げています。
4日午後、北九州市門司区で海洋散骨のデモンストレーションが行われました。
■宮原真記者
「神社の関係者が船に乗りました。このあと関門海峡で海洋散骨が行われます。」
実施したのは創建1800年、九州最北端の神社、和布刈(めかり)神社です。出航からおよそ5分、散骨を行う場所に到着し、お骨に見立てた塩やお供えの花がまかれました。
■神職
「それでは黙とうを捧げます。」
和布刈神社は2014年に海洋散骨の事業を開始しました。以来、供養した遺骨はおよそ3000にのぼります。
■和布刈神社 三十二代目 禰宜・高瀬和信さん(39)
「仏教が伝来する前がどういう弔いを行っていたかというと、神道式の告別式と海洋散骨。自然に返るというニーズがあると思っています。」
背景にあるのは、全国の多くの神社が直面しているという財政難の問題です。
高瀬和信さん(39)は2009年に三十二代目の禰宜を継ぎました。当時、年商が500万円ほどで、正月の収益頼みの状況だったといいます。
■高瀬さん
「参拝者もまったく来なくて電話もならなかった。収入が0円という日が続いていた。」
収益の低い神社からの脱却を目指し、和布刈神社の改革に向けて挑戦を始めました。目をつけたのが「終活」支援です。
新たに敷地内に葬儀会館を建設し、ことし6月からは神道式の葬儀「神前葬」を提案しています。
和布刈神社の年商はおととしには1.4億円となりました。培ってきた海洋散骨や神社での葬儀の仕組みを、青森県や群馬県などの神社にフランチャイズ展開しています。
■高瀬さん
「神社が消滅してしまうと感情や優しさ、良心が失われてしまう。全国の地方の神社が一丸となって未来に神社を残すために取り組んでいきたい。」
神社存続のため稼ぐ神社を目指して舵を切った和布刈神社。財政難に苦しむ神社にとっての新たな希望となるのかもしれません。