特集「キャッチ」八女福島の燈籠人形 江戸時代から続く伝統を新たな世代へ 生き続ける情熱
八女福島の燈籠人形 伝統が新たな世代へ
特集「キャッチ」は、国の重要無形民俗文化財に指定されている『八女福島の燈籠人形』についてです。約280年続くこの祭りには、伝統を守り抜いてきた人たちの熱い思いがありました。
八女提灯で明るく照らされた舞台に、お囃子にあわせて華麗に舞い踊る人形、約280年の歴史を誇る『八女福島の燈籠人形』です。
人の手で作り出される不思議なからくりの世界に、観客たちは魅了されます。
白壁の町並みなど、時代の息吹を感じる福岡県八女市の福島地区で、国の重要無形民俗文化財にも指定されているこの祭りを支えているのが、燈籠人形保存会の副会長・今村雅樹さん(69)です。
祭りに携わって47年、囃子方で太鼓を担当しながら、若手の育成にも力を入れています。
■燈籠人形保存会 副会長・今村雅樹さん(69)
「じいちゃんの時代から、おやじの時代から私と、小さい時から燈籠人形を見に行っていた。すると、それに憧れるわけですよ。」
祖父や父の背中を追い、今村さんは21歳の時に保存会に入りました。
副会長となった今は、先輩たちが築いてきた祭りを未来につなげようと奮闘しています。
■今村さん
「伝統的なものに対して、国指定にしていただいておりますので、それを自覚しながら、今後次の世代につないでいかないかんからですね。」
本番3日前のこの日、合同練習が行われました。
■今村さん
「大丈夫か?」
■出穂虎太郎さん(24)
「いや、この前1回しただけなんですよね。」
今村さんがつきっきりで教えているのは、出穂虎太郎さん(24)です。
出穂さんは八女市の隣、福岡県筑後市の出身です。高校卒業後、大工の職人になるために八女市の建設会社に入社しました。その建設会社が燈籠人形の屋台をつくっている縁で、7年前から祭りに携わっています。
これまでは舞台の横から人形を操る横遣いなどをやってきましたが、ことしは憧れていた太鼓に挑戦することになりました。
■出穂さん
「無理!」
燈籠人形の練習が始まるのは、本番の約2週間前です。仕事で参加できない日も多く、練習量は足りていません。
■今村さん
「(Q. どうやったら虎太郎君上達しそう?)かなづちを打つやないか、あのリズムでいくとうまくなる。」
■出穂さん
「現場でも練習します。」
■出穂さん
「みんなじいちゃんって感じです。じいちゃんがいっぱいおるみたいな。やっぱみんな社会人になると、周りに無頓着になってくるものじゃないですか。面倒くさくなったりとか。1年に1回でも、こんなに集まるのはすごいなって思いますね。」
本番まであと3日です。練習は夜遅くまで続きました。
秋晴れの中、9月24日、本番当日迎えました。
本番ギリギリまで、太鼓のリズムや所作を確認します。
■出穂さん
「(Q. 自信はどうですか)ありま、せん。そんな無いですけど、頑張ります。」
公演は一日全5回です。いよいよ、1回目の舞台が幕を開けます。
ことしの演目は『玉藻之前』です。平安時代、鳥羽上皇から寵愛(ちょうあい)を受けていた美しい女性が実はキツネだったという物語で、4つある芸題のうち最も人気のある作品です。
出穂さんが太鼓として出演する初めての舞台です。一打一打に魂を込めます。
しかし、練習不足が露呈してしまう場面もありました。
隣にいる今村さんの手元を見ている場面もありましたが、30分間の公演を最後までたたききりました。
■出穂さん
「結構間違えたんですけど、無事終わりました。」
祭りは日が暮れるにつれ、観客も、演じる側も熱気は最高潮に達します。最終日の千秋楽のみ、屋台の板や障子が外されます。ふだんは見えない人形遣いの動きや囃子方などが見られるとあって、観客の数も増えていきます。
手元が見える千秋楽、出穂さんは鳴り物で一番難しい太鼓は経験豊富な先輩に任せ、鼓を担当することになりました。
280年もの時を超え、多くの地域住民が受け継いできた燈籠人形には、人々の心を動かす情熱が今も生き続けています。
■観客
「すごくよかった。八女が地元なんですよ。だからすごく誇らしかったです。」
■観客
「地元の人たちが、大切に思って頑張って守られているんだなって思って。こういうのはもっと続けていってほしいなと思います。」
■出穂さん
「最後太鼓はできんかったけど、今村さんが言った5年後ぐらいにできればなと思います。千秋楽まで任されるように頑張ります。」
■今村さん
「今後素晴らしい仲間たちが燈籠人形を支えていただくという実感がわきまして。八女に生まれてきてよかった、この伝統芸能に携わってよかったと、そんなふうに思っております。」
先人が守り抜いてきた『八女の誇り』を胸に、江戸時代から続く伝統は、これまで支えてきた世代から新たな世代へと一つずつ受け継がれています。
八女提灯で明るく照らされた舞台に、お囃子にあわせて華麗に舞い踊る人形、約280年の歴史を誇る『八女福島の燈籠人形』です。
人の手で作り出される不思議なからくりの世界に、観客たちは魅了されます。
白壁の町並みなど、時代の息吹を感じる福岡県八女市の福島地区で、国の重要無形民俗文化財にも指定されているこの祭りを支えているのが、燈籠人形保存会の副会長・今村雅樹さん(69)です。
祭りに携わって47年、囃子方で太鼓を担当しながら、若手の育成にも力を入れています。
■燈籠人形保存会 副会長・今村雅樹さん(69)
「じいちゃんの時代から、おやじの時代から私と、小さい時から燈籠人形を見に行っていた。すると、それに憧れるわけですよ。」
祖父や父の背中を追い、今村さんは21歳の時に保存会に入りました。
副会長となった今は、先輩たちが築いてきた祭りを未来につなげようと奮闘しています。
■今村さん
「伝統的なものに対して、国指定にしていただいておりますので、それを自覚しながら、今後次の世代につないでいかないかんからですね。」
本番3日前のこの日、合同練習が行われました。
■今村さん
「大丈夫か?」
■出穂虎太郎さん(24)
「いや、この前1回しただけなんですよね。」
今村さんがつきっきりで教えているのは、出穂虎太郎さん(24)です。
出穂さんは八女市の隣、福岡県筑後市の出身です。高校卒業後、大工の職人になるために八女市の建設会社に入社しました。その建設会社が燈籠人形の屋台をつくっている縁で、7年前から祭りに携わっています。
これまでは舞台の横から人形を操る横遣いなどをやってきましたが、ことしは憧れていた太鼓に挑戦することになりました。
■出穂さん
「無理!」
燈籠人形の練習が始まるのは、本番の約2週間前です。仕事で参加できない日も多く、練習量は足りていません。
■今村さん
「(Q. どうやったら虎太郎君上達しそう?)かなづちを打つやないか、あのリズムでいくとうまくなる。」
■出穂さん
「現場でも練習します。」
■出穂さん
「みんなじいちゃんって感じです。じいちゃんがいっぱいおるみたいな。やっぱみんな社会人になると、周りに無頓着になってくるものじゃないですか。面倒くさくなったりとか。1年に1回でも、こんなに集まるのはすごいなって思いますね。」
本番まであと3日です。練習は夜遅くまで続きました。
秋晴れの中、9月24日、本番当日迎えました。
本番ギリギリまで、太鼓のリズムや所作を確認します。
■出穂さん
「(Q. 自信はどうですか)ありま、せん。そんな無いですけど、頑張ります。」
公演は一日全5回です。いよいよ、1回目の舞台が幕を開けます。
ことしの演目は『玉藻之前』です。平安時代、鳥羽上皇から寵愛(ちょうあい)を受けていた美しい女性が実はキツネだったという物語で、4つある芸題のうち最も人気のある作品です。
出穂さんが太鼓として出演する初めての舞台です。一打一打に魂を込めます。
しかし、練習不足が露呈してしまう場面もありました。
隣にいる今村さんの手元を見ている場面もありましたが、30分間の公演を最後までたたききりました。
■出穂さん
「結構間違えたんですけど、無事終わりました。」
祭りは日が暮れるにつれ、観客も、演じる側も熱気は最高潮に達します。最終日の千秋楽のみ、屋台の板や障子が外されます。ふだんは見えない人形遣いの動きや囃子方などが見られるとあって、観客の数も増えていきます。
手元が見える千秋楽、出穂さんは鳴り物で一番難しい太鼓は経験豊富な先輩に任せ、鼓を担当することになりました。
280年もの時を超え、多くの地域住民が受け継いできた燈籠人形には、人々の心を動かす情熱が今も生き続けています。
■観客
「すごくよかった。八女が地元なんですよ。だからすごく誇らしかったです。」
■観客
「地元の人たちが、大切に思って頑張って守られているんだなって思って。こういうのはもっと続けていってほしいなと思います。」
■出穂さん
「最後太鼓はできんかったけど、今村さんが言った5年後ぐらいにできればなと思います。千秋楽まで任されるように頑張ります。」
■今村さん
「今後素晴らしい仲間たちが燈籠人形を支えていただくという実感がわきまして。八女に生まれてきてよかった、この伝統芸能に携わってよかったと、そんなふうに思っております。」
先人が守り抜いてきた『八女の誇り』を胸に、江戸時代から続く伝統は、これまで支えてきた世代から新たな世代へと一つずつ受け継がれています。