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JR双葉駅前にオープンしたばかりコーヒー店 これから描く物語とは…・福島県

2025年3月7日 16:22
JR双葉駅前にオープンしたばかりコーヒー店 これから描く物語とは…・福島県
双葉町の駅舎の時計は、午後2時46分、あの日、故郷を一変させた時間で止まったままです。双葉町の「JR双葉駅前」からお伝えします。
双葉町は、2023年に一部で避難指示が解除されましたが町で暮らす人は3月1日時点で184人で、震災前の人口の約2.6パーセントと思うように帰還が進んでいない現実があります。

そんな町の玄関口であるJR双葉駅前でひときわ目をひくこちらの建物。
1階には、2月にオープンしたばかりのコーヒー店があります。
温かいコーヒーを提供する若者は福島県外からの移住者です。
新たな風となって双葉町の未来を描こうとしています。

長らく時が止まったままの町に移住した1人の男性がいます。
深澤 諒さんです。
14年前の震災の時は中学生だった深澤さんは大学までを地元・秋田県で過ごし、卒業後に「地域おこし協力隊」として福島県にやってきました。
そこで出会った一杯のコーヒー。
煎り方で、まるで別物になるコーヒー焙煎の虜になりました。
「いつか自分のお店をもちたい」そんな未来を描き選んだ場所が…ここ、双葉町でした。
■直川
「なぜ、双葉だったんですか?挑戦の場が」
■深澤さん
「まあ言っちゃうとこの地域は、地域おこしの1つ前の地域づくりから、コーヒー屋さんとして関われるというのは、すごくこの地域の魅力かなと思っています」
暮らしていると目の当たりにする現実があります。
■直川
「双葉町って、こうしてバリケードがあるっていうのがまだ日常ですよね」
■深澤さん
「そうですね。生まれ育った秋田では、バリケードっていう単語をそもそも聞くことが無かったので、そんな所から移住してきて、これがある種ここの地域の1つの日常の側面だということをひしひしと感じるというか…」
何気ない日常の中にいまでも帰れない場所があるということ。14年前は遠い世界の話だったことがここに来て自分ごとになりました。

■深澤さん
「いらっしゃい!」
福島県外からやってきた大学生を前に語った想い。
■深澤さん
「僕みたいに違う所から移住してくる人、いろんな人がこの地域には関わっているけれど、めちゃくちゃ正直なことをいうと、住んでて、移住者とか、なんなら大学生・社会人を区別することもほぼないです。あとは復興を目的に3年前移住してきた訳では無いので、自分が好きなコーヒーを自分が生きる生業のフィールドを選ぶっていう中で、浜通り面白そうだから、次の拠点として選んでみようかなと思ったら、地域に根をはっちゃってたという」
2024年度、福島県内に移住した人は3千4百人と過去最も多くなり、特に、この双葉町を含めた原発事故の被災地に移住する人が増えています。
念願のオープン当日。
■直川
「深澤さんいよいよですね」
■深澤さん
「ここまで来ちゃいましたね。」
深澤さんが地域づくりから携わりたいと、ここ双葉を選び思い描いた青写真が形になりました。
■男性
「あっ美味しいわ」
■女性
「めっちゃ美味しい~」
■夫婦客との会話
「本当にありがとうございます。えっ、はじめてですか?こちらには」
■旦那
「始めてきました!」
■深澤さん
「まじっすか!めちゃ嬉しいですね。」
■宮城県から来た夫婦
「やっぱいいですよね!こういう出来ると、ここから盛り上がりが広がっていくというよな。核になる店になったらいいなと思いますね」
■妻
「美味しいです!」
■直川
「初日から大忙しですね!」
■深澤さん
「ほんとに有難く、色んな人に飲んでいただけてとっても嬉しいです。」
■直川
「いい船出になったんじゃないですか?」
■深澤さん
「そうですね。飲んでいただいてもですが、何より(双葉町に)遊びにきて頂いて、いっぱいおしゃべり出来たことが何より嬉しいです」

故郷に帰ってきた人、他から移り住んだ人、出身も立場も関係なく、みんなで一緒に自分たちが暮らす町の未来を考えていく。
■深澤さん
「ようやく、この地に根をはるための拠点ということで、この地域の方に楽しんで頂いて、そのうえで自分が届けたいコーヒーをここから発信していけるような、そんな焙煎所にしていきたいと思っています」

店の名は「オープン ロースタリー アル」
ここ双葉にある。あり続ける。この町とともに歩くと決めた深澤さんの決意が宿っています。

春を待つJR双葉駅前には、きょうもコーヒーのいい香りが漂ってきます。

深澤さん、コーヒーを通して双葉でやりたいことがあるんですよね?
■深澤さん
「僕にとってコーヒーは、何かを表現するツールなので、せっかくこの町でこの地域でコーヒー屋さんをやるからには、僕が見た町の景色とかをコーヒーの味と香りに乗せて双葉ブレンドを作って県外の人にも双葉を届けられたらなと思ってます。
最終更新日:2025年3月7日 23:31