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"諸毒消丸"で富を築いた「吉田松花堂」国の重要文化財に指定へ

2023年11月24日 19:20
"諸毒消丸"で富を築いた「吉田松花堂」国の重要文化財に指定へ

「吉田松花堂」が国の重要文化財に指定へ。熊本市内の建造物としては30年ぶりです。

熊本市中央区にある、吉田松花堂。
今回、答申の対象となるのは明治時代の1871年に建てられた主屋のほか茶室など9棟の建物と土地約2120平方メートルです。吉田松花堂は1830年頃から続く薬屋で、初代が開発した伝統薬「諸毒消丸」が熊本の名産品として普及し富を築くきっかけとなりました。現在も胃腸薬として愛用されています。

身分が高い人の宿泊施設にもなった十五畳。床の間には貴重な一枚板が使われているほか、違い棚の間を支える海老束には、薬としても使われるイッカクの角が用いられています。

薬売りを営む商家の構えが残る建物。2016年の熊本地震で瓦が崩れるなどの被害を受けたものの文化財としての価値を見直す機会に。吉田家や建築関係の有識者の協力のもと調査を進め、国の文化審議会は「歴史的価値の高いもの」などとして24日に国の重要文化財に指定するよう答申したということです。

■8代目・吉田とし代さん(77)※「とし」は(「禾」の下に「千」)
「一言でいえば感謝でいっぱい。これからは皆さんに愛されるような存在に持っていけたら」

熊本市によりますと重要文化財への指定は年明けになる見通しです。指定されれば熊本市内の建造物としては熊本大学工学部旧機械実験工場以来30年ぶり6件目となります。

12月10日には午後1時から吉田松花堂を一般公開する予定です。