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日本画の巨匠・横山大観の屏風絵がピンチ 1400万円超の修復費をクラウドファンディングで

2023年10月13日 18:03
日本画の巨匠・横山大観の屏風絵がピンチ 1400万円超の修復費をクラウドファンディングで

所蔵品の保全や収集をするため、全国各地の美術館や博物館で行われているクラウドファンディング。熊本県立美術館でも貴重な屏風絵の修復に向け支援の呼びかけが行われています。

1917年に描かれた近代日本画の巨匠、横山大観の「雲去来」。縦約1.7メートル、横約3.7メートルの一双の屏風に、墨の濃淡とぼかしで雲の往来が描かれます。

よく見ると…絹の織り目の隙間が光っています。絵の裏側から金箔を貼り、霧雨で霞む琵琶湖と柔らかな光を表現しています。

県立美術館が所蔵する貴重な屏風絵。しかし…。

■熊本県立美術館 林田龍太学芸普及課長
「今、修理をしないと、いつこの作品自体が損なわれてしまうか、見られなくなってしまうか、ちょっと難しい状態」

屏風のつなぎ目にある亀裂に、汚れやシミ。繊細な表現も損なわれています。

高度な技術が求められる修復。国宝などを手がける専門の工房に依頼する予定ですが、1400万円以上の費用がかかる見込みです。(1460万2000円)

これまでの修復や調査には、2008年度からの6年間で県内企業などから募った3億円あまりの基金をあてていました。しかし熊本地震や豪雨、コロナ禍などで、寄付の依頼を控えたため、このままだと2、3年後には、底をつくまでに。

そこで始めたのが…熊本県としては初のふるさと納税制度を活用するクラウドファンディングです。

■熊本県教育庁文化課 坂井田端志郎主幹
「寄付を集めていただいたお金で修復にあてていきたい」

返礼品として用意されたのは、馬刺しや辛子レンコンなど熊本ならではの返礼品。県民は返礼品を受け取れませんが、全国から広く寄付を募ることができます。

■熊本県立美術館 林田龍太学芸普及課長
「皆さんに作品の美しさ、素晴らしさというのを伝えながらも、これがちゃんと 106年経ったものなのだというところも伝えていけるような、それを両立させるような修復ができたら」

クラウドファンディングは12月31日まで行われ、その後2年の修復期間を経て2026年度に、輝きを取り戻した作品が公開される予定です。