【橋の名は】同じ橋なのに名前が違う!?その謎に迫る
ニュースの中で、酒気帯び運転の現場として放送した熊本市の橋の名前。熊本市の発表では…。
■担当者
「やすみばし。中央区九品寺」
ところが、ニュースVTRの後のスタジオで…。
■東島大デスク
「あんせいばし じゃないの?」
一体どちらが正しいのでしょうか。調査に行ってきました。
熊本市中央区。電車通りの大甲橋と銀座橋の間、白川にかかるこちらの橋。
■平井友莉アナウンサー
「こちらが国道3号や繁華街側です。論争の的となっているのが…こちらの橋。橋の名前を示す橋名板には、漢字で『安巳橋』と書かれています。橋を渡ってみましょう。橋を渡った所には、ひらがなで『あんせいはし』と書かれています」
橋を通る人たちに声をかけてみると。
Qこの橋って何と呼んでいる?
■近所に住んで30年以上
「あんせいばし」
■熊本市
「あんせいばしですね」
Q漢字ってどう書く?
「安・巳、あ、政治の政かな」
■熊本市
「あんせいばし、やすみばしとも言いますかね」
橋のすぐ近くで5代続く米穀店では…。
■米穀店の人
「普通は『あんせいばし』って言うけど、だいたいは『やすみばし』って言うとじゃないですかね?」
2つの名前で呼ばれていて、どちらが正解なのかわかりません。そこで、真相を確かめるためにやってきたのは、熊本市土木総務課。
橋を管理する熊本市の橋梁台帳を見せてもらうと。
■熊本市土木総務課の職員
「こちらですね。アンセイハシ。名称が安らかに、巳年の巳に橋、アンセイハシという呼び方になります」
1968年に橋が架け変わったときに登録され、その後の名称変更の記録はないということ。しかし…。
■熊本市土木総務課の職員
「私は恥ずかしながら、政治の『政』で勘違いしていました」
「私も政治の『政』だと思っていました ははは」
市役所の中でも情報が錯綜していたようです。
実は、橋のたもとには、こんな案内板が。そこには、「はじめ『安政橋』と名付けられ、安政巳年(安政4年)に完成したことから『安巳橋』に改めた」と記されていました。
そういうことで、調べた結果、「安巳橋」と書いて「あんせいはし」と読むということでした。
ちなみに、熊本市にはもう一つ、こんな橋があります。
「あんたがたどこさ」という歌に「せんばばし」という橋が出てきます。
「あんたがたどこさ」という歌でおなじみのこの場所。「せんばばし」と呼ばれています。
熊本市中央区の坪井川にかかるこの橋。船に場所で「船場橋」と書かれていますが、近くにある熊本市電の電停の名前は、洗うに馬で「洗馬橋」なんです。
熊本市交通局によりますと、電停の名前は1967年までは、近くの地名にあわせて「塩屋町」だったそうなんです。地名が変わるタイミングで、近くにあった橋の名前にちなんで「洗馬橋」に変更したということです。
しかし、橋の名前の漢字となぜ表記が違うのか、詳しい理由や経緯は分からないということでした。
熊本県地名研究会の会員で、この周辺の歴史に詳しい毛利秀士さんに聞いたところ、江戸時代から坪井川は「馬を洗うのにちょうどいい場所」として知られ、明治時代には周辺の地名が「洗馬町」だったことなどが影響したのではないかということでした。