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クラファンに630万円超…豪雨被災の老舗旅館 全面再開へ復旧工事進む

2024年8月13日 20:38
クラファンに630万円超…豪雨被災の老舗旅館 全面再開へ復旧工事進む
鶴之湯旅館(八代市)

4年前の熊本豪雨で被災した老舗の旅館。来年の全面再開を目指して復旧工事が進んでいます。旅館の復活で集落に賑わいを取り戻そうと奮闘する4代目を取材しました。

八代市坂本町にある鶴之湯旅館。復旧工事の真っ最中です。
玄関があったところは骨組みに。入口にかかる時計も見えます。

「今かさ上げをしていただいている作業中で…」

旅館の4代目、土山大典さん(42)です。

■土山大典さん
「水害対策のためにあげていただいてたくさんのご協力のおかげでこのようにやっていただいていることをありがたいと思っている」

鶴之湯旅館は、1954年に土山さんの曾祖父が始めました。近くにある荒瀬ダムを訪れる観光客などで賑わう時期もあったものの、次第に客足が減少。ダム撤去の話が持ち上がった約5年後の2007年、旅館は無期限で休業することになりました。そんなとき…

■土山大典さん
「木造3階建ての立派な建物父も母も一生懸命残してくれてこの建物をなんとかもう一度輝かせたい残したいという思いで戻ってきた」

熊本市で暮らしていた土山さんが旅館を再開しようと父のふるさとに戻ってきたのです。

2016年から土山さんひとりで営む宿は1日2組限定。風情のある建物や球磨川などの豊かな自然を求める人が旅館に足を運びました。ところが…

2020年の熊本豪雨。旅館の横を流れる球磨川が氾濫し1階部分には水が流れ込みました。それでも、家族が守ってきた旅館を残したい気持ちは揺るぎませんでした。ボランティアの力を借りて…

■大津町からのボランティア
「大変な時期が長く続くと思うが頑張って欲しい」

費用の工面にはクラウドファンディングを使い、目標を上回る630万円あまりが集まりました。
旅館は2021年11月に一度再開しましたが、災害に強い旅館にするためことし2月から再び休業。約2メートルのかさ上げ工事を行うことになりました。

■土山大典さん
「積み上げられてきた70年の時間をこれから自分の世代でも未来に繋げていきたいなという気持ちでいっぱい」

土山さんが旅館を守りたいと思う理由は他にも…向かったのは、地域のお年寄りが集まる集落のお堂です。
この集落では夏になると手作りの郷土料理、みょうが饅頭を持ち寄る“だご盛り”という祭りが開かれます。
この日集まったのは土山さんをのぞいて全員80代以上の高齢者。移住してきた土山さん、地域の人のお願いには全力で応えます。

■集落の人
「若い人見つけんと年寄りばっかでだれもしきらん。どんな人?良い人なあ優しい人」

高齢化と過疎化が進む集落にもう一度にぎわいを…。旅館の再生は集落の人の願いでもあります。

■集落の人
「過疎化過疎化になって、人もよらんごつなってしまった。(2016年に)再開したときもだいぶ賑やかになったこれ以上ににぎやかになれば私達も助かりますけど」

70年の歴史と集落の人の思いを背負って。旅館は豪雨から5年を迎える来年7月の再スタートを目指しています。

■土山大典さん
「自分ひとりで旅館をしているわけではなくて様々なご協力のおかげで旅館もお客さんを受け入れていたと思うので地元の方にも喜んでいただける皆さんにかわいがっていただける旅館づくりをしたい」