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【切実な訴え】「私たちには時間がない」水俣病訴訟の原告が熊本県に控訴しないよう訴え

2023年10月6日 17:52
【切実な訴え】「私たちには時間がない」水俣病訴訟の原告が熊本県に控訴しないよう訴え

水俣病の最終的解決をうたった「水俣病特別措置法」で救済されなかった原告全員を水俣病だと認めた大阪地裁判決。原告らが6日、熊本県庁を訪れ、控訴しないよう訴えました。

■大阪地裁で勝訴した原告 安田幸美さん
「水俣病が治ることはありません。せめて1日も早く解決をして原告が安心して暮らせるようにしてほしいです」

県庁の前で声をあげたのは、水俣病をめぐる裁判の原告や支援者たち。

この裁判は、国の水俣病特別措置法の救済からもれた関西などに住む原告が、国や熊本県、原因企業のチッソに損害賠償を求めたもので、大阪地裁は9月27日、原告全員を水俣病と認め、国などに賠償を命じる判決を言い渡しました。

チッソは、4日付けで大阪高裁に控訴。国と県は「検討中」として、態度を明らかにしていません。

特措法をめぐっては熊本でも同様の裁判が起こされていて、6日は大阪地裁で勝訴した原告と、来年3月に熊本地裁の判決を待つ原告など約30人が県庁を訪れました。

■大阪地裁で勝訴した原告 松尾厚子さん
「知事に申し上げたいことは、本当にこれ以上私たちを苦しめないでください。解決のために、1日も早く話し合いをしてください」

■熊本地裁で来年3月に判決 森正直原告団長
「今のペースで判決を待つと水俣病の被害者がみんな死にます。判決にのってください。私たちは時間がないです」

「控訴を断念し、問題解決に向けて動いてほしい」という切実な訴え。これに対し県の担当者は。

■熊本県水俣病審査課 佐藤豊課長
「訴訟で争われている方がいらっしゃること、その中で亡くなった方がおられるということについて、私も大変重く受け止めている。現役の方々が様々な症状で苦しまれているのも承知している」

「国と協議し今後の対応を検討する」と繰り返しました。

また原告らは、県が控訴するかどうか判断した際には、もう一度話し合いの場を設けてほしいと訴えましたが、県は「持ち帰って検討したい」としました。

■原告団ら
「被害者の声があって初めて行政があるんじゃないんですか」
■熊本県水俣病審査課 佐藤豊課長
「ご要望については、しっかり受け止めまして、また部内で報告し検討してまいりたいと思います。本日はすみません、持ち帰らせていただきたい」

控訴期限は10月11日。水俣病を「政治の原点」と話す蒲島知事の判断が注目されます。