娘が電話で涙の訴え…実は全部うそ!巧妙すぎる「劇場型詐欺」の手口
熊本県内で被害が続く「電話でお金詐欺」。17日、18日と相次いでいわゆる「受け子」の男が逮捕されました。
巧妙化する詐欺の手口。県警は、実際にかかってきた詐欺の電話を公開して注意を呼び掛けています。まずは音声をお聞きください。
【熊本県警youtube映像より】
(犯人)「もしもし」
(父親)「もしもし、はい」
(犯人)「●●だけど~」
(父親)「どうしました、大丈夫?」
風邪で声がでないとうそをつき、熊本市内の家に電話をかけてきた犯人の女。
翌日、再び電話が入り、会社から金を横領して株を購入したため返済に1000万円が必要と訴えます。
(犯人)「2人で友達の会社のお金を横領している状態なんだよね」
(母親)「いや~もう…。500万ならあるよ。お母さんが持っとる」
(犯人)「貸してくれる?」
(母親)「うん。もう、あんたがそがんこつばするなんて、思っとらんだった…」
時折声を詰まらせ、熊本弁も話しながら電話する犯人。しかし、これはすべてうその電話でした。
この後、母親は銀行へ行ったものの、振り込む直前で詐欺と分かり、被害は出ませんでした。
相次いだ「劇場型詐欺」
10月、熊本市で相次いで電話をきっかけに金をだまし取った疑いの男が逮捕されました。
その手口が「劇場型詐欺」と言われるものです。あらかじめシナリオがあり、複数の登場人物が、それぞれの役でターゲットに接触します。
1件目は17日、熊本市の82歳の女性が100万円をだまし取られました。
10月2日午前10時半頃、女性に①医師を名乗る男から電話が入ります。
(①医師を名乗る男)「息子の喉を診察したら、がんがある」
その直後、今度は、②息子の同僚を名乗る男から電話が。
(②息子の同僚を名乗る男)「自分が病院に連れて行った」
続いて、③息子を名乗る男から
(③息子を名乗る男)「病気で声がガラガラだ」
電話は一旦切れますが、数分後に再び、③息子を名乗る男から電話が入ります。
(③息子を名乗る男)「さっき電話をかけた公衆電話に財布を忘れて盗まれた。中に会社に納めるお金をおろすキャッシュカードが入っていたので、至急100万円用意してほしい」
女性はその後、金融機関に金をおろしに行きますが、そこで再び、息子の同僚を名乗る男から電話があります。
(②息子の同僚を名乗る男)「息子さんが血を吐いて金を取りに行けなくなったので、私の息子が取りに行きます」
その後、④同僚の息子という男が、女性の自宅で現金100万円を受け取ったということです。
翌日、女性が実の息子に電話をしてうそだとわかり、警察に通報して判明しました。
そして今回逮捕されたのが、4番目に出てきた「同僚の息子」という男。いわゆる「受け子」の21歳の男です。
また18日も、似たようなシナリオで仲間と共謀し、熊本市の90歳の女性から現金280万円をだましとったとして、25歳の男が逮捕されています。
「電話でお金の話が出たら詐欺と思って」
さらに犯行グループは、銀行で金を引き出す時の対策も進めているようです。県警によりますと、銀行員が詐欺ではないかと声をかけてきた際に、怪しまれないよう「孫の結婚資金」と言うよう指示して、信憑性を高めてくるケースもあるということです。
県警は「電話でお金の話が出た場合は全て詐欺と思ってほしい」と話しています。