「思いやりが問われるスポーツ」元Vリーガー教員の思い 富山
バレーボールのアクアフェアリーズで活躍した元選手のセカンドキャリアについてです。
現在は魚津市の私立高校で教員を務めていて、部活動の顧問としても日々生徒の指導にあたっています。
競技の魅力を伝えようと奮闘する姿を助田記者が取材しました。
魚津市の新川高校。体育館の一角でバレーボール部が練習をしています。2023年に取材した当時は、部員は全員で7人。
試合をすることもままならない、小さなチームでした。
「ナイストス!もう1本!」
顧問の小杉凜華先生。2023年度着任したばかりの体育の先生です。
新川高校 小杉凜華先生
「少ない人数でっていうのを今まで経験したことないし、高校バレーも私は本当に朝から晩まで長い時間やるっていうのが当たり前だったけど、今は決められた時間の中でやらなきゃいけない」
こう話す小杉さん、実は…バレーボールV1リーグ所属のKUROBEアクアフェアリーズで活躍した”Vリーガー”でした。
2023年5月の現役引退後は、大学時代に取得した教員免許を活かし、新川高校で第二の人生をスタートさせました。
自身は、富山第一高校などバレーボールの名門校で競技生活を送ってきましたが、強豪校とはいえない新川高校をあえて選んだのは「勝つバレーボール」よりも目指したいものがあるからです。
小杉先生
「そんながっつり『絶対春高いこう!』みたいな、そんなんじゃなくて、バレーボールの競技人口自体増えてほしいし、そういう部分でも楽しくやってくれたら」
富山の子どもたちにバレーボールを好きになってもらいたい。
小杉さんは、授業などで地域との交流の機会が多い新川高校で教員になることを決めました。
2023年12月には、生徒たちと学校近くのこども園でバレーボール教室を行うなどバレーボールを広める活動を積極的に行っています。
部活動でも、試合で勝つこと以上に楽しんでもらうこと学びを得てもらうことを目指しています。
小杉先生
「練習からも『自分で考えて、取り組んで、それができた』が楽しいって、なってくれればいいかなと思っていて『やっててよかった』とか、最終的に思ってくれればいいなと思います」
2024年度を迎えた先週、練習場所を訪ねると。
バレーボール部は新3年生が1人、新2年生が1人のあわせて2人になっていました。
1年生が何人入部するかが、2024年度の活動の幅を大きく左右します。
「1個1個意識してやっていきましょう」
「はい」
「お願いしまーす」
「お願いします」
2024年度は新たに5人の1年生が入部し、合わせて7人の新チームが動き出しました。
小杉先生
「試合は6人以上いれば出られるので、なんとかやっと、この子らにも試合をさせてあげられるなという思いです」
部員たちに競技を通して伝えたい思いは。
小杉先生
「思いやりが問われるスポーツなのかなって、1本目上げるときも2本目つなぎやすいようにとか、気遣いとか周りを見て、この人いま困ってるなとか、そういうことに気づくことも、人生においてすごい大事なこと。そこは大事にしていきたいなって思っています」
教員としてはまだまだ駆け出しの小杉さん。新たなフィールドでバレーボールのすそ野を広げていけるか、挑戦は始まったばかりです。