【特集】カレイの王様「マツカワ」とは? 県内各地で養殖盛んに 新名物めざす
特集は県内で養殖が盛んになっているカレイの王様とも呼ばれる「マツカワガレイ」です。新名物としての定着をめざして養殖に取り組む事業者の思いを取材しました。
中泊町の小泊漁港にある養殖施設。こちらで育てているのが「マツカワガレイ」です。町や漁協などで作る「中泊さかなプロダクツ協議会」が県と連携して養殖を行っています。あまり聞きなじみのないマツカワガレイとはどんな魚なのでしょうか。
★中泊さかなプロダクツ協議会 伊藤竜太 営業部副部長
「カレイの王様と言われるカレイで成長も早い魚で高級魚として扱われている魚になります」
マツカワガレイは「幻のカレイ」や「カレイの王様」と呼ばれる北海道が主産地の大型のカレイで県内ではほとんどとれません。2021年から県から事業委託を受けた県栽培漁業振興協会がふ化から3か月ほど育てた稚魚を中泊町や外ヶ浜町など県内各地の漁協などに出荷しています。マツカワガレイは稚魚から1年ほどで市場に出荷できるとされる800グラムまで成長する魚で、新しい県の名物として期待されているのです。
こちらの水槽には緑色のLEDライトが当てられています。カレイは緑の光に対して識別能力が高く、ライトで食欲増進を促すことができるそうです。
しかし去年の夏のことでした。
★中泊さかなプロダクツ協議会 伊藤竜太 営業部副部長
「温度管理というところがやっぱり1番大変で昨年もここだと29℃くらいに水温が上がってしまったのでそれでへい死してしまった」
去年の猛暑で養殖場で使っていた海水の温度が想定よりも上がってしまい、ほとんどのマツカワガレイがへい死してしまいました。ことしは去年まで1つしかなかった冷却器を2つに増やす対策をとっています。
この日中泊町の養殖施設に施設見学の高校生が訪れていました。
★青森山田高校の生徒
「もうちょっとおとなしいというか泳ぐときもゆっくり泳ぐ感じだと思っていて今見たら元気に泳いでいたからびっくりしました」
中泊町の養殖場では最適な養殖方法を模索しながら、見学者を招くなどマツカワガレイの知名度を上げる取り組みも行っています。
外ヶ浜町にはマツカワガレイを食べられるお店があります。津軽半島の最北端、海を一望できる場所にある「レストハウス龍飛」です。海鮮料理が人気のこのお店では「マツカワガレイの漬け丼」を提供しています。特製のごまだれで漬けたマツカワガレイをふんだんに使った逸品です。
提供しているマツカワガレイはお店からすぐ近くの養殖施設で育てたものです。この施設は6年前に外ヶ浜町と竜飛漁協が立ち上げたもので、ことしからレストハウス龍飛の運営や水産加工などを行う会社「LaLaKi」が事業を引き継いでいます。こちらでは21槽の水槽で1万匹近いマツカワガレイを育てています。
★LaLaKi 佐々木雄二 さん
「ちゃんと死なないように安全に育ててもっと青森県のみならず全国に広めていきたいと思っています」
新商品の試作、販売も進めていて「マツカワガレイの醤油麹漬け」はごはんのおかずやお酒に合わせてマツカワガレイのおいしさを手軽に味わえる商品として人気です。
★LaLaKi 木下綾佳 副社長
「町おこしとしてというのもありますし将来子どもたちがつないでていければ未来につないでいければという思いでやっています この絶景の中でおいしいマツカワガレイを召し上がっていただきたいなと思っています」
中泊町、外ヶ浜町のほかにも県南、下北などでも養殖が行われているマツカワガレイ。新しい名物としての定着を目指しそれぞれの思いで事業に取り組んでいます。