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【“雨”台風10号】県内は28日未明も激しい雨…接近前から大雨降らすわけは?備えは?気象予報士に聞く(静岡)

2024年8月28日 17:18
【“雨”台風10号】県内は28日未明も激しい雨…接近前から大雨降らすわけは?備えは?気象予報士に聞く(静岡)

27日夜…。

(伊藤 薫平 キャスター)
「午後7時過ぎの大井川を渡っている東名高速です。雨が強まってきました」

フロントガラスを叩きつける大粒の雨。27日夜7時過ぎ、台風10号の影響で、静岡県内には湿った空気が流れ込み、27日夜も各地で大雨となりました。午後9時ごろ、浜松市では…。

(西尾 拓哉 記者)
「今、雷の落ちる大きな音が聞こえました」

浜松市内の住宅街では、道路が冠水する場所も。

(視聴者)
「車まじ水没する。家の前なんだけどやばい」

27日夜11時ごろ、磐田市では男性の膝が浸かるぐらいまで、冠水していました。雨は日付が変わった未明にも各地で降り続きました。

(川口 卓也 記者)
「先ほどから雨が激しくなり始めました。道の方を見てみると、水たまりもでき始めました」

雨脚は急激に強まり、一気に水たまりが…。1時間の雨量は、御前崎では60.5ミリ、浜松市中央区では50ミリと、非常に激しい雨に。また、28日までの24時間雨量は、各地で200ミリを超えて、藤枝市と牧之原市では8月の観測史上最大となっています。一夜明けると、被害の状況が明らかに…。

(清水 将光 記者)
「掛川市では、県道につながる流入道路に土砂が流れ込み、通行止めとなっています」

県道「磐田--掛川線」の「結縁寺インターチェンジ」では、のり面から土砂が崩れ、復旧作業が進められていました。掛川市を流れる西大谷川沿いの道路も崩落。幅約30メートルが崩れ落ちたということですが、けが人や民家への被害はないということです。

また、交通の大動脈が、27日夜から寸断されました。

(島田 悠以 記者)
「午前8時の『静岡インター』前です。現在、雨の影響で『静岡-豊川』間などが通行止めとなっています」

「ネクスコ中日本」によりますと、現在、東名は、「静岡IC~豊川IC」間で通行止めとなっていて、新東名は、「新静岡IC~
新城IC」間で通行止めとなっています。解除の見込みは、まだ立っていないということです。この影響か、インター周辺の道路を始め、一般道が大混雑。

(島田 悠以 記者)
「午前11時前の国道1号です」「下り線では渋滞が発生しています」

静岡市葵区の国道1号静清バイパスも、西へ向かう車で渋滞していました。国道1号掛川バイパスからアクセスできる「道の駅掛川」では、影響を受けた人たちが…。奈良県から来た、この男性は…。

(奈良から来た人)
Q.目的地は?
「山中湖の周辺です」「車で来て、東名で来る予定が通行止めで、岡崎から降りて、ずっと下道で来ました」「不便ですね、本当ならもう着いていてもおかしくない午前6時に出たので」

この男性は、浜松で観光した後、茨城に帰る予定で…。

(茨城に帰る男性)
「東名が止まっているとは思わず、下からずっとここに来て
休憩している」「本来なら5時間ぐらいで帰れるが、多分、日をまたぐのではないか」「安全運転でいけるように頑張ります」

(道の駅掛川 岩下 拓ニ 社長)
「駐車場を見ると、県外ナンバーの車が多い。客の顔を見ても、普段より客層が違うのかなと」「普段、来てくれる客が、なかなかこの交通状況で来られないのが影響しているのかなと思う」

一方、鉄道にも影響が。

(構内アナウンス)
「東海道本線は、昨日から続いている大雨の影響により、運転を見合わせております」

東海道線は、始発から「富士駅~豊橋駅」間で運転が見合わせに。その後、「富士駅~静岡駅」間は、正午前に運転を再開しましたが、「静岡駅~豊橋駅」間は、終日、運転を見合わせる判断となりました。

(利用客)
「いつ動くのかなという感じですけど」「タクシーで帰ろうかバスで帰ろうかなってと思ってたところで」

(利用客)
「最初は在来線で行こうと思ったが、運転を見合わせているということでどうしようかな」「当初の予定より(台風接近が)だいぶ遅くなっているから困っちゃいますよね」

一方、東海道新幹線は、28日朝、速度を落として運転した影響で、一部列車で遅れが出たものの、現在は、おおむね平常通り運行しているということです。

静岡県内では、午後3時現在、中部南・遠州南・遠州北に「大雨警報」が出ています。また、浜松市や磐田市など西部の多くに「土砂災害警戒情報」が発表されていて、引き続き警戒が必要です。

今回の台風10号はなぜ、接近前から、これだけの雨を降らせているのでしょうか?松浦気象予報士に聞きました。

(松浦 悠真 気象予報士)
「台風は確かに遠いが、台風が九州の付近にあって、一方で日本の東側には高気圧があります。台風は反時計回りの風が吹いて、高気圧は時計回りの風が吹いているので、日本付近には南寄りの風が吹きやすくなっています、そうすると、熱帯由来の非常に湿った空気が静岡県を含む太平洋側に流れ込みやすくなっていまして、特に静岡のあたりは、台風と高気圧の風が合流していることもあって、集中的な大雨になっていると考えられる」

今後、台風10号は、県内ではどんな点に注意が必要なんでしょうか?

(松浦 悠真 気象予報士)
「今回の台風10号は、静岡にとっては『雨台風』となりそうです。今、台風が離れている段階から降り続いている雨が、地盤をかなり緩ませているという状況がありますし、これから台風が段々と東に進んでくる頃に、さらに雨が強まるということが予想されますので、そうすると元々大雨だったところに更なる大雨ということで、被害が発生する恐れがあります」「あす(29日)から31日土曜日ぐらいにかけて、激しい雨が断続的に降ってきそうだが、そうすると、この3日間で1か月分の雨量を超えてくる可能性がある。場所にもよるが、200ミリから300ミリの所が多くなっているので、それを超えてくる可能性が十分ある、そうすると被害が大きく出る可能性もあります」

一方で、風は、現在の進路予想では静岡に近づく頃には、暴風レベルではなくなっているということです。今のうちにできる備えをしておく必要があります。

(松浦 悠真 気象予報士)
「2年前の台風15号、静岡市内を中心にかなりの大雨になったが、あの時も典型的な『雨台風』となりました。あの時と気象条件は少し異なるものの、予想されている雨量からすると、あのような集中豪雨が起きてもおかしくないよいうことになる。あの頃のような被害を想定して備えをして頂きたい」