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「リニア推進」掲げる鈴木新知事 県と国、JR東海、大井川流域市町との連携必要性を強調(静岡) 

2024年5月30日 18:30
「リニア推進」掲げる鈴木新知事 県と国、JR東海、大井川流域市町との連携必要性を強調(静岡) 

リニア問題について「JR東海・国・流域市町との連携が重要」と話し、対話を推進する考えを示している鈴木新知事。新知事誕生で、リニア問題は前に進むのでしょうか。

29日、公務をスタートし就任会見を開いた鈴木康友新知事。県政の舵取り役が変わったとあって、まず注目されたのは、リニア問題への方針。そこで鈴木新知事が強調したのは「対話」でした。

(鈴木康友 知事)
「県とJR東海、国、大井川流域市町と連携のもと、一つの課題をクリアしていくことが大事なので、まずはそうした体制作り、そのために各主体とのコミュニケーションをとっていくことで、JR東海の社長や国交省とも早く会ってコミュニケーションをとっていきたい」

リニア問題をめぐり川勝県政の終盤で指摘されていたのは、国や流域市町とのコミュニケーション不足。これまで、県とJR東海、流域市町の間で認識の違いがみられるなど議論がなかなか前に進まない状態でしたが、「4者での連携」を高めていくことが重要だと強調したのです。

その先駆けとして希望したのが、JR東海や国交省とのトップ会談。これをうけて、30日、JR東海の丹羽社長も取材に応じました。

(JR東海 丹羽俊介 社長)
「私どもとしては一日も早く静岡工区に着工したい。地域の方の理解を得られるように、引き続き双方向のコミュニケーションをしていく」

トップ会談には直接触れませんでしたが「県や流域市町との連携」に前向きな姿勢を示しました。

一方、国交省の斉藤大臣も鈴木知事の就任をうけて28日取材に応じ、「県とJR東海の対話を促す」と話しました。

(斉藤鉄夫 国土交通相)
「静岡工区モニタリング会議を通じてJR東海の対策状況を継続的に確認し、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入って一層の対話を促すなど、早期開業に向けた環境の整備を進めてまいりたい」

県とJR東海、国の3者が対話を進める姿勢で協調しました。

一方、4者のうちのもう1者である”大井川流域市町”のトップからは、対話を強調する鈴木新知事に、期待と注文の声が上がっています。牧之原市の杉本市長は…

(牧之原市 杉本基久雄 市長)
「鈴木知事は経済効果の話をしている。首長の中で言うのは私ぐらいだが、 経済効果は非常に大事。JRから直接導き出していただきたい新幹線新駅についても、しっかりと前向きに取り扱っているのは鈴木知事だけ。」

これまでJR東海が明確に示すことがなかった、リニアによる静岡県への経済効果、具体的なメリットを、対話の中で引き出してほしいと話しました。

(牧之原市 杉本基久雄 市長)
「それからリニアは、地震や風水害の代替路線として必要だし、これからの若い人たち、子供たちが夢の乗り物として魅力がある。その意味では、早く課題を解決して、そして経済効果について、しっかりとJRから担保を取る。水環境の問題についても担保しっかり取ってもらいたいと思う」

さらに、川勝県政でのリニア対応には反発することの多かった島田市の染谷市長からは、鈴木知事が強調する「4者での連携」を歓迎する発言が…

(島田市長)
「鈴木新知事が、JR、国、県、流域の4者が一堂に会して認識を共有することは大事だ、と言ってくれた。これまでそういう場がなかったので、新知事に実現を大きく期待する。」

さらに、4者での協議がもたらす効果は大きいと話します。

(島田市 染谷絹代 市長)
「国の関与や不確実性の担保などが、両者が、膝を交えて話し合うことで 解決に近づいていくのではないか。リスク回避の担保で、瑕疵担保責任のような話も出てくるのかもしれない。いずれにしても、今まで以上に具体的な議論に進め、進んでいけるように願うばかりです」

一方、藤枝市の北村市長からは「対話を重ねる中で、水や環境の問題をしっかり議論してほしい」と慎重さを求める声も上がりました

(藤枝市 北村正平 市長)
「リニア推進論が最近体制を占めてきたが、私たちは、直接の流域で、特に大井川流域は水が命。この水は絶対引くことはできない。いま有識者会議も含めてJRとやっていて、だいぶ方向性が出てきたので、さらにしっかりと議論を続けていただきたいと思うが、その意味で、水や環境については、さらに私の方からも申し上げて、ご理解を深めていただきたい。その上で鈴木新知事の判断もしていただきたい」

また、鈴木知事は29日の会見で、川勝県政では県が一貫して難色を示していたボーリング調査について、「進めていくべき」と容認する考えを示しています。

(鈴木康友 知事)
「調査自体はやるべき、調査無くして前には進めない。詳しい調査内容などはこれから伺っていくが一般論としては調査は進めていく」

リニア推進に向けて「対話」を強調した鈴木新知事。全国からも動向が注目されるこの問題で、早速その手腕が試されることになりそうです。