岐阜でリニア工事で水位低下・静岡工区への影響は?(静岡)
リニア中央新幹線の工事が進む岐阜県で、井戸やため池などの水位の低下が相次いでいることが分かりました。トンネル掘削工事の影響とみられています。
岐阜県瑞浪市大湫町。
この町は、愛知県にほど近く、リニアのトンネル掘削工事が進められています。山間の、のどかな町に、ある異変が…
■ 住民コメント
「これが井戸、今、水面は見えんね」「騒ぎというか、枯れるという話を聞いたものだから…」
のぞき込んでいるのは、井戸水の量を確認できる穴。このお宅では、食事や洗濯などに井戸水を使っていましたが、先月下旬ごろ、枯れてしまったといいます。
同様の事態がこの地域で相次いでいます。
JR東海によりますと、リニア中央新幹線のトンネル掘削工事を行っている岐阜県瑞浪市で、共同水源と個人用の井戸、ため池のあわせて14か所で水位の低下を確認したということです。一部は、枯渇して使用できなくなっています。
■記者リポート
「こちらのため池は一度干上がったせいで底がひび割れています。」
数日前に雨が降り、現在は水がたまっていますが、その前は干上がっていたという、ため池。さらに…
■地域に住む 加藤さん
「もともと、ここもこの井戸も枯れたことない。今まで」
この地域で70年以上暮らす加藤さんは、危機感を募らせます。
■ 加藤さん
「一番心配してるのは農業。」「米が作れるか作れんかという心配をしてかないかんけど我々としては何もできることないんで、JRがしっかりやっていだだく しかない。」
JR東海は、トンネル掘削工事が影響した可能性があるとみて、5月13日に住民説明会を開き、代わりの水源の確保や井戸水を上水道に切り替えるなどの対応を進めています。
掘削工事は状況を見ながら、慎重に続けるといいうことです。
リニアに関わる水の問題は静岡県でも、大井川の水量に影響が出ないか懸念され続けてきました。
工事をめぐっては、JR東海が、5月20日に再開を予定している山梨から静岡を跨ぐボーリング調査について、先日、県の専門部会が容認したばかりでした。今回の問題が、今後の県の判断に影響を与えるのでしょうか。
JR東海はの丹羽社長は16日の会見で、岐阜で起きた水位の低下とその対応を説明しました。
■JR東海 丹羽社長
「トンネル掘削工事との関係については引き続き専門家に相談をしながら調査をしていくが、周辺でこの工事以外に地下水に影響するような工事が行われていないことからこの工事による影響が高いと考えている」「代替となる水源として新しい井戸を数日以内に掘り進める予定。大湫町内には約3年前から観測用の井戸を3か所設置しているが、それに加えて大湫町内の水田地帯における地下水位を確認するための観測用の井戸を新たに設置する工事を始めたところです」
一方で今回の事象は、静岡工区の状況とは全く異なると話しました。
■JR東海 丹羽社長
今回は中央新幹線工事の路線の近くで起こった事象でございます。1557-「南アルプストンネルの静岡工区についていうと、実際に大井川の中下流域に与える影響は実際にトンネルから河川延長でいうと約100キロ離れた大井川中下流域に与える影響について色々と対策を議論しているので、今回の件はケースが異なると考えている」
そのうえで丹羽社長は、静岡工区については国の有識者会議がまとめた報告書を踏まえてしっかりと対策を講じていくと話しました。