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「動物福祉」のドッグホテル【動物の視点から幸せを考える】普及と理解を 岩手・盛岡市

2024年7月18日 18:46
「動物福祉」のドッグホテル【動物の視点から幸せを考える】普及と理解を 岩手・盛岡市

 皆さんは、「動物福祉」という言葉をご存知でしょうか。動物の視点からその健康や幸せなどに配慮するというものです。その動物福祉の精神を重んじたドッグホテルが岩手県盛岡市にあります。勤め先をやめてまでホテルを立ち上げた男性の思いとは。

 ペットと人間との関係を、より良いものに。そうした動きの中で、新たなチャレンジが 始まっています。

盛岡市上田にある、『ドッグヴィラ もりおか』。自宅のリビングや 空き部屋を開放したドッグホテルとして、去年オープンしました。一般的な ケージは無く、犬との接し方も 他とは違います。

佐藤陽一さん
「近付いてきてくれたので撫でてますけど、僕からは行かないようにはしてます。それがストレスになるからですね。ワンちゃんたちにとってみれば」

 このドッグホテルを運営する「佐藤 陽一」さん。一般企業に勤めていた「佐藤」さんが、会社を辞めてまでホテルを立ち上げたのには、あるきっかけがありました。

佐藤さん
「ここを開いたきっかけは、この子を飼い始めた時ですね。"しつけ"という称した教材を買いまして、教材通りにこの子を育てていったら、トリマーさんに噛みつこうとした出来事があって。で何か違うなと思って」

 その苦い経験から、人間ではなく 動物が主体の「動物福祉」という考え方に巡り会いました。

佐藤さん
「今までは人間目線で、いわゆる"しつけ"と言われるものをやってたんですけど、何が嫌なんだろうっていうのをですね、それが分かるようになったというのが大きいですね。この犬の教育を広めたい、犬の福祉を広めたい…っていう思いで始めましたね」

 動物の視点から、その健康や幸せなどに配慮する「動物福祉」。盛岡市みたけに、佐藤さんが「動物福祉」を学んだ場所があります。

佐藤さん「こんにちは。僕を犬業界に導いてくれた師匠です」
上野さん「上野です、よろしくお願いします」

 6年前にオープンした『ドッグガーデン盛岡』。代表の「上野(うえの)」さんが行う トレーニングは、「動物福祉」を実践したものです。

上野さん
「当店では、"ハズバンダリートレーニング"っていうのをすごく大事にしていまして、私たちが実際にワンちゃんに触れて行う物事全てに選択肢を渡してます。なので、ケアにしても、例えばこういうマットをですね、敷かせていただいてこうやってブラシかけるのを」

 犬が自主的に 横になって、ブラッシングを受けます。

上野さん
「私たちが1日に1歩もご自分のワンちゃんに近付かなくても生活ができるという所が、すごく大事かなと思っています。犬たちが自ら喜んで人に寄り添うようなそういう暮らしを目指しているってことですね。人と犬の間柄には、上下的な関係、これはあんまりないのでできれば信頼関係、どうやったら築けるかなという所を目指していただければと思います」

 上野さんは佐藤さんと共にセミナーを開催し、「動物福祉」の普及活動に 勤めています。

上野さん
「(佐藤さんは)やっぱ本当に熱量の高い方なので、私が今まで育ててきた生徒さんの中でも、もうずば抜けて成長スピードが速くてアウトプットもすごい数しますし。なので私としては一言で言うと、とても心強い仲間ができたなと思ってます」

 そんな佐藤さんにとって、新たな取り組みも。8月オープン予定の『きづきのホテル』。不動産会社との共同企画で完成させた、ペットに優しいホテルです。

佐藤さん
「この床。ワンちゃんが滑らないようにコーティングされてます外を見たときに、目隠しシートを貼っているんですけども、これはワンちゃんが、外を見たときに、他の人とか他の犬が万が一通ったときに、吠えたり、あとは興奮したりしないようにするために目隠しシートを貼っています」
「あとはドッグランの所もね、外がなるべく見えないように工夫してやりましたね。」

 ホテルでありながら、まるで我が家でくつろいでいるかのよう。犬との暮らしを豊かにするヒントが詰まっています。

「ここに来て学んで帰ってくれて、そういった方々が沢山増えてくれると、よりよい社会になっていくんじゃないかなと思ってます」
佐藤さん
「ペットと一緒となると、旅行を控えちゃう方々いらっしゃるので、そういう方々がですね気軽に、こういうホテルがあるなら、盛岡に行こうって思ってもらえるようなホテルを作っていきたいなと思います」

 動物目線に配慮した「動物福祉」の考え方に出会い、犬との関わりが、大きく変わりました。

佐藤さん
「もう、人のように扱ってるのでこの子たちの目線で物事を考えるようになると この子たちを"犬"っていうくくりで見てないですね。人とコミュニケーションとってるのとほぼ一緒だなと思いますね。今、僕はこの家で ワンちゃんを預かるっていう、そういうビジネスモデルを構築したんですけど、それを、できる人を増やしたいと思ってますね。でワンちゃんを預けに来たときにこういう"犬の福祉"っていう世界を、知ることができるのでその"犬の福祉"が広まった先に、ペットが生きやすい世界ってのが広がってくるんじゃないかなと思いますね」

 動物の視点から"幸せ"を考える「動物福祉」。新たな試みと共に命を大切に思う輪が広がりを見せています。