【パリ五輪の裏側①】ホテルは高額、改札はベビーカーが通れない…取材班が見た"花の都"の素顔
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“花の都”フランス・パリで開催された2024年オリンピック。「環境に配慮したオリンピック」を掲げた華やかな大会の裏側では、さまざまなことが起きていた。取材班が身を持って体験した“花の都”の素顔や大会の裏側を2回にわたって報告する。
(取材・報告:読売テレビ 櫻茜理記者・足立夏保アナウンサー)
■オリンピック一色の街
オリンピック開幕前の7月末、取材班は約14時間半の渡航の末にパリ=シャルル・ド・ゴール空港へ到着した。
凝り固まった体をほぐしながら入国審査を終えると、すぐ目に入ってきたのは「Paris2024」の文字。空港内のあちこちにオリンピックロゴの広告が飾られ、「ようやくパリに着いたんだ」と実感した。
空港からパリ市内まで車で約1時間…。道中、日本では聞いたことが無いサイレン音を鳴らして、颯爽と走り去る警察車両を何台も見かけた。厳重な警備体制が敷かれていることを実感する。
セーヌ川周辺は、開会式まで規制されていて通行できない道も多く、普段であれば車で10分程で行ける場所に40分以上の時間を費やすこともあった。
道路脇の電柱のあちこちにオリンピックののぼり旗が付けられ、街の中心部に近づくほどにお祭りムードを感じた。
衝撃的だったのは、有名なヴェルサイユ宮殿やコンコルド広場などが競技会場になっていたことだ。歴史的な空間で乗馬やスケートボードなどの競技が行われることは、信じがたい光景だった。
■ホテルは1泊7万円!
取材班が宿泊するホテルは、パリ市内の中心部にあった。オリンピック期間中は、宿泊価格が高騰していた。部屋の価格は、なんと1泊約7万円! といっても、金額に見合うような高級感はない。ホテルはフランスの有名なビジネスホテルチェーンで、普段なら1泊100ユーロ(=1万6千円)前後だという。
当然1人1部屋ではなく、ツインルームに相部屋だ。ちなみに、このホテルは、オリンピックの取材を見据えて、読売テレビは2年前から押さえていた。
■エレベーター降りても…!古い建物ならではの事情
部屋に入ろうと、エレベーターホールに向かう。エレベーターの前には3段の階段があった。少し違和感を感じながらも、渋々とスーツケースを持ち上げ、エレベーターに乗り込んだ。
部屋の階に到着し、ドアが開いた瞬間、取材班は目の前の光景に目を疑った。なんと、そこは客室のフロアではなく、階段の踊り場しかなかった。エレベーターを降りた先は、階と階を繋ぐ螺旋階段の中間地点だった。
つまり、部屋に行くには、階段を上るか下りるかしなければならず、エレベーターの意味がない。
構造から見るとおそらく、古い建物に、後から無理やりエレベーターを増設したのだろう。長旅を終えた先の宿で遭遇した現実に、取材開始前から心がくじけそうになった。
■パリ中心部での開催 観客の交通事情
交通規制を受けて、取材には電車で向かうことも多かった。
道中、日本人の親子と出会った。2歳くらいの幼い子どもを連れたお母さんは、ベビーカーを押しながら競技の観戦に来ていた。
行き先が同じだったため、一緒に地下鉄の駅へと向かう。しかし、駅の入り口で下りのエスカレーターを探すも、階段しか見当たらない。やむなく取材班は、ベビーカーを運ぶのを手伝いながら、階段を下りて駅構内へ向かった。すると今度は、ベビーカーが改札を通れない。改札の幅が非常に狭いのだ。やむを得ずベビーカーを持ち上げて通過した。
この駅は、改札の外にはエレベーターもエスカレーターも無かった。親子連れや高齢者、障害のある人たちは、どうやって利用したらいいのか。
パリ市内では、主要な駅以外では、同じように階段しかなく、改札も狭い構造の駅が多く見られた。このような事情を知っている地元の人たちは、ベビーカーなどを押して歩く場合は、最初から地下鉄ではなく、バスを利用するという。
一方、今回、各駅の構内には、競技場へのアクセス案内が丁寧に記されていた。土地勘が無い観光客にとっては、地下鉄以外の選択は難しいようにも感じた。
「環境に配慮」といううたい文句には、違和感を抱いた。
≪後編へ続く≫