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【独自解説】「“遺産的な人たち”がトップをしていると世間が見るかもしれない」ジャニーズ性加害問題、『解体的出直し』に向け社名変更も課題山積み…専門家解説

2023年10月5日 17:00
【独自解説】「“遺産的な人たち”がトップをしていると世間が見るかもしれない」ジャニーズ性加害問題、『解体的出直し』に向け社名変更も課題山積み…専門家解説
10月17日で“ジャニーズ”は消滅するが…

 10月2日の会見で、社名変更や廃業する方針を発表したジャニーズ事務所が『解体的出直し』に向け動き出しています。今後、新会社が直面する課題は?そして、スポンサー企業などからの相次ぐ“ジャニーズ離れ”に歯止めはかかるのか?亀井正貴弁護士が解説します。

10月17日に社名変更。しかし「今の場合でも、『解体的出直し』と言えるかどうか」

 10月17日付で、「SMILE‐UP.」(スマイルアップ)に社名を変更する現ジャニーズ事務所。社長には東山紀之氏が就任し、藤島ジュリー景子氏は取締役に就任し、株を100%所有し続けます。ただ、代表権を返上することで、今受けている相続税の猶予措置は受けられなくなるため、相続税については支払うことになります。この、「SMILE‐UP.」は、被害者の補償のみ行い、その後は廃業させるという事です。

一方、エージェント契約で運営する新会社を1か月以内に設立させるという事で、こちらも社長には東山紀之氏、副社長には井ノ原快彦氏が就任し、社名はファンクラブで公募します。新会社では、個人やグループでのエージェント契約以外に、若手タレントは新会社に所属することも可能としています。

Q.エージェント会社で、若手は所属も可能ということは、業務が二重になるのでは?
(亀井正貴弁護士)
「人的な充実度が非常に要求されます。通常は、芸能分野について人と営業資産は譲渡するのですが、今回、従業員は退職して新エージェント会社に入ることになると思います。そして育成部門も要ります。従前のジャニーズ事務所と同じようなものがないとやっていけないでしょう」

Q.そうなると時間が足りないのでは?
(亀井弁護士)
「旧ジャニーズの営業用資産とか人を譲渡してやっていくのが手っ取り早いのですが、そうなるとジャニーズの影響が残りますので、ジャニーズの旧営業部隊をどうするのか?資本をどういう形で入れていくのか?など非常に多くのことをしないといけないと思います」

Q.「SMILE-UP.」(現ジャニーズ)から資金や営業資産が行くと「解体的出直し」にはならないのでしょうか?
(亀井弁護士)
「今の場合でも、『解体的出直し』と言えるかどうか評価の問題があります。ジャニーズに所属していた“遺産的な人たち”がトップをしていると世間が見るかもしれません。また、営業スタッフも同じ人たちだと『前と同じじゃないか』となるかもしれませんので、その辺の切り分けをどうするかという問題があると思います」

「すごく前進」「更新しない方針に変更はない」企業や自治体、反応様々

 社名変更や廃業する方針を受け、企業や自治体などから様々な声が上がっています。10月3日、経済同友会の新浪剛史代表幹事は「2つに会社を分け名前を変えたことはすごく前進。『SMILE-UP.』に名前を変えると言っているが、この会社がいかに被害を受けられた方を救済するかを見届ける必要がある」とコメントしました。また、「日本の明るさを提供してきた方々ですから、新しい事務所で早く再開できることは願っています。しかし『今すぐに』というわけにはいかないんじゃないかなと思う」と話しました。

 スポンサー企業の対応ですが、「サントリーホールディングス」は「再発防止や救済策が十分と判断できるまで契約を更新しない。補償や救済などの取り組みを見て判断する」としています。また、「日本マクドナルド」・「伊藤ハム」・「キリンホールディングス」は「『今の契約満了後は更新しない』という方針に変更はない」と話しました。「日本航空」も「ジャニーズタレントの広告起用を当面 見送りの対応に変化はありません」としています。一方で「コーセー」は「今回発表された方針は我々が以前にご提案させていただいた内容に沿ったもので、前向きに受け止めております。今後も引き続き動向を見極めながら対応してまいります」などとしています。

 11月30付でジャニーズを対処すると発表した「超ひらパー兄さん」を務める岡田准一氏について「ひらかたパーク」は、「岡田さん自身の思いもあって引き受けていただいている仕事で、当社として恩義を感じている部分もある。岡田さんとの関係を大切にしたいという思いは、変わりません」ということですが、今後について「検討中」とのことです。また、P&Gジャパンは「弊社では、同事務所との契約をすべて終了し、これまで同事務所を通じて契約していた4名(生田斗真・菊池風磨・道枝駿佑・西畑大吾)のタレントの方々と“直接契約”を締結致しました」と発表しました。

Q.まだ、以前のスポンサーが戻ってきていない状態ですが、ここは外部の人間が社長につく方が良かったりするのでしょうか?
(亀井弁護士)
「不祥事事件の場合、多くはオーナーの株式を売却して第三者が入ることが多いです。ただ、今回のジャニーズ事務所の場合、被害者救済ということがありますので、単純に売却して、『他の人でやってください』ではすみません。そこが難しいです」

(「情報ライブミヤネ屋」2023年10月4日放送)