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米外交官健康被害にCIAが中間報告 報道

2022年1月21日 10:53
米外交官健康被害にCIAが中間報告 報道

「ハバナ症候群」は、外国の大使館などで勤務するアメリカの外交官や情報機関の職員が、頭痛や吐き気、聴覚障害など、原因不明の体調不良に陥る現象です。

2016年に、キューバに駐在する外交官の間で初めて報告されると、同じような健康被害が各国で相次ぎ、脳に損傷を負う重症者も出るなど、アメリカメディアによると、およそ1000件が報告されています。

複数のアメリカメディアによりますと、この「ハバナ症候群」についてCIAは分析の中間報告をとりまとめ、多くの事例について、特定の国がアメリカの外交官に危害を加えようとする「継続的・世界的な活動」である可能性は低いと評価しました。環境的な原因や診断されていない病気、ストレスなどによって「妥当な説明が可能だ」としているということです。

一方で、原因不明の事例も残っていて、CIAは今後、特定の国の関与を排除できていないおよそ20件について、さらに重点的に調査する方針だということです。

この中間報告に対し、被害者らの団体は強く反発していて、「暫定的な分析だとしても結論として否認されているように聞こえる。信義則に反する」などとする声明を出しています。

また、訪問先のドイツでCIAの分析について問われたブリンケン国務長官は、「全ての職員と家族の健康・安全以上に優先されることはない。真相究明のためにあらゆる手段を講じる」と述べ、調査を続けることを強調しています。

「ハバナ症候群」をめぐっては、2020年にアメリカの科学アカデミーが、電磁波などの「高周波エネルギーによる可能性が最も高い」と、意図的な攻撃であることを示唆する報告書を発表していて、この報告以降、ロシアなど特定の国の組織的な関与を疑う声が強まっていました。

■写真:バーンズCIA長官(※CIAのHPより)