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【特集】「煩悩の数・108歳まで続けたい」86歳で現役!上方落語最長老・桂文吾さんの挑戦

2024年2月11日 6:44
【特集】「煩悩の数・108歳まで続けたい」86歳で現役!上方落語最長老・桂文吾さんの挑戦

鳥取県米子市の落語家・桂文吾さんは、86歳となった今も精力的に活動しています。先日は1時間半もの大舞台に挑戦、その落語家人生に迫りました。

~子ども落語~
「なるほど、わしに名付け親になれというのじゃな。奈良漬けは嫌いですねん。誰が奈良漬けやいうた。名付け親や」

「うわーー、誰やと思ったら大仏さんや」
「大仏さんがもの言いよった」
「盗人め!!とっ捕まえてぶつぞう!!」
「ぶつぞう(仏像)って洒落かいな」

子どもたちのにぎやかな声が響く落語教室はなんと27年間も続いています。

鳥取県米子市に住む落語家・桂文吾さんです。地元の小中学生を対象に行っている月に2回の落語教室、この日は3人が稽古に来ました。子どもたちの落語に真剣に稽古をつけていきます。

桂文吾さん
「落語、覚えるのはいいけれど動作もついてくる、目の動きも必要やな」

師匠から弟子へ語り継がれてきた落語。文吾さんも子どもたちに自身の技、経験を惜しみなく伝えていきます。実は文吾さん86歳で現役の落語家。上方落語最長老なんです。

Q.なぜ落語家に?
桂文吾さん
「終戦後、小学4年生くらいの時にラジオから古今亭志ん生さんの落語『時そば』やったと思うけど流れていて、面白かった。人を笑わすのは面白いことやなと感じてこんな商売があるならやってみようと」

15歳の時に先代の桂文吾に弟子入りし、六代目桂小文吾として落語家人生がスタート。20歳の時には役者にも挑戦し、活動の幅を広げていましたがー。

桂文吾さん
「27歳の時にこれ以上役者やってても自分で伸びない感じがしたし、もうこのあたりで芸能界はやめた方がいいじゃないかと思って引退しました」

引退後は縁あって米子市に移住し、皆生温泉のホテルに就職、宴会の余興も担当しました。そして、定年退職する前にかつて兄弟子のように慕っていた人間国宝・桂米朝さんの誘いを受けて落語家の活動を再開しました。

■84歳で「桂文吾」の六代目の襲名

そして、2022年、84歳で落語家としての転機が訪れます。江戸時代から続く「桂文吾」の六代目の襲名です。

桂文吾さん
「米子・山陰の方々に落語をもっともっと知っていただいて、落語文化が地方に広まっていくといいなあと思います。108歳まで、煩悩の数までやりたいなと思っています」

現在も落語教室や寄席、テレビ出演などを精力的に行い、山陰で落語文化の普及に努める文吾さん。84歳での襲名にはある挑戦への覚悟もありました。

桂文吾さん
「文吾を継ぐならば大師匠にあたる4代目文吾さんが作った有名な上方落語でも指折りの『噺(はなし)』ですわね。『らくだ』はなんとかやってみたいなと思っております」

■4代目・桂文吾が考えた古典落語の名作「らくだ」を独演会で“初”お披露目

先々代の大師匠4代目・桂文吾が考えた古典落語の名作「らくだ」。1時間半もの大作です。自身が6代目になってから初となる独演会をお披露目の場に選びました。自ら舞台の位置の調整も行い準備を進めていきます。

桂文吾さん
「問題は私がうまくできるかできないか。らくだをやるけれども、うまくやらずに下手にやってやろうと思ってます」

この独演会、手伝う人の中にはー。

種原大悟さん
「いらっしゃいませー」

種原大悟さん。文吾さんの落語教室がきっかけで小学4年生から落語を始め、現在も文吾さんのもとで「錦亭だい吾」として稽古を積んでいる高校生です。

種原大悟さん
「きょうは師匠の落語会があるので手伝いに来ました。すごく楽しみです」

開演間近になると会場はお客さんでいっぱいになりました。

男性客
「あのお年で元気でね。きょうは1時間半もやるということなんでね、じっくり聞いてみようと」

そして、いよいよ桂文吾さんの登場です。

~『らくだ』を披露する桂文吾さん~
「大きくて、のそのそしている人に『らくだ』というあだ名をつけたそうです」

話は「らくだ」という荒くれ者が、フグの毒にあたって死ぬところから始まります。そして、「らくだ」の葬式を引き受けた2人の人物が、酔っぱらって生きている別の人を火葬しようとするなど、ドタバタ劇を繰り広げます。落語家として高い技量が求められる非常に難しい演目ですが、オチの部分ではー。

~『らくだ』を披露する桂文吾さん~
「火持ってきてーな火や!火や!!」
「“冷や”でいいから飲まして~」

オリジナルのオチで締めくくるなど、難しい演目を自分のものに落とし込み、200人の観客を前に見事に演じ切りました。


「よかった!すごい!86歳でもね、精力的によかったです。1時間半を感じさせなかったです」

種原大悟さん
「すごい師匠なんだなというのを見せられた感じがします。お客さんをみんなを笑わせていたけど、これをやるってなると相当難しいんだなと伝わってきました」

桂文吾さん
「もっともっと、何回も何回も練って『うまいな!』と言われるような落語・らくだをやってみたいと思います」

■落語教室では子どもたちに楽しむことの大切さを伝える

桂文吾さん
「落語というのは聞いて覚えるだけではなくて、自分がいかに楽しく面白くやろうかというのもひとつやからね。友達とのやり取りをするのもニコニコしてれば話も弾んでくる」

落語教室に通う子どもたちはー。

長谷川裕人さん
「(落語を)話したり、人を笑わせたりするためには勉強が必要なので、この体験は将来なにかしらいいことにつながると思います」

橋本咲穂さん
「落語をするときに声が大きくないとお客さんに聞こえないから、声が大きくなりました」

桂文吾さん
「子どもの中の笑いというのが、自分の中にもふっと出てくる時がありますね。それは自分にとっては刺激になり、いい勉強になるのかも。教えることによって自分が教えられています」

86歳にして現役落語家の桂文吾さん。文吾さんの笑いの種は、ここ山陰の子どもたちにしっかりと受け継がれています。