×

広島の食の多様性を発信!ベトナム人シェフの挑戦

2024年3月12日 19:06
広島の食の多様性を発信!ベトナム人シェフの挑戦

最近、注目されている「ガストロノミーツアー」。
その土地の気候風土から育まれた食文化に触れることを目的にした観光旅行のことですが広島県内でも盛んになっています。
今月はじめに県北を中心とした「山の恵み」、そして先週は瀬戸内をめぐる「海の恵み」ツアーが行われ、4年前に広島へ移住したベトナム人シェフが広島の食の魅力を伝えました。

「次がナマズのチャーカーというお料理ですね。北部ハノイの伝統的なお料理です」

食や旅に関わる仕事やメディアに携わる人々を広島に招き、海の恵みを巡るツアー。
ディナーの舞台は、廿日市市のベトナムレストラン、「チラン」です。

コース半ばで提供されたのは、魚をターメリックで味付けして揚げたベトナム料理「チャーカー」です。東広島市で養殖されたナマズを使っています。

「(ナマズには)ぬめりが」
「ゼラチン質がある肉質で皮ごと召し上がれます」

広島ではあまり見かけない一品を作るのは、ドグエン・チランさん。両親はベトナム人で、東京で生まれ育ちました。

★チランさん
「フレンチのビストロやレストランにずっと在籍していて、
いざ独立すると言ったときにやっぱり個性を何かほしいと考えたときに
ルーツというのがやっぱり一番誰にもまねできない、
自分だけが持っているモノだと思ったので/モダンベトナミーズという
スタイルでレストランをやっています」

廿日市市の住宅地にお店を開いたのは3年前。今は子育て中ということもあり、原則ランチのみです。

★チランさん
「廿日市のエリアは主人の地元で4年前に一緒に戻ってきました」

チランさんの夫、藤井千秋さんもソムリエとしてお店に立ちます。
料理に合わせてワインやノンアルコールドリンクをふるまいます。

広島でお店を出すことになったチランさん。広島の食に対するイメージはあまりなかったといいます。

★チランさん
「イメージと言ったらもうカキとレモンの二択ですね。いざ来てみるとカキレモン以外の食材の多様性をすごく今体感していて」

そのひとつが、ナマズです。東広島市の「勝梅園」で養殖されていると知り、取り寄せています。
調味料も広島を中心に、できるだけ近場で作られたものを探して使っています。

★チランさん
「多様性ですよね。やっぱり一番強調したいのは。こんなのあるんだみたいな。そういう驚きや意外性は記憶にも残ると思うので、記憶を持って広島の魅力に気付いてもらえたら嬉しいなと思います」

「食」を通じて広島への観光客を増やそうと県が企画したプロジェクト、「ホライズン」。
先月、東京で行われたイベントではG7サミットでもふるまわれた広島産の食材を使ったコース料理が提供され、著名人も参加しました。

★小山薫堂さん
「食べるもので人の心を動かすって、ファンにするって早いなってあらためて思いました。食材の生産者と料理人が一緒になって広島を日本中に発信していったらもっともっと広島への注目度も高まると思いますし、広島へ行きたいという人も増えると思います。」

そして広島に実際に足を運んで、生産者やシェフに会い食材や料理の魅力を知ってもらう「ガストロノミーツアー」を開催。今月1日には「山の恵みコース」が行われ県北を中心に酒蔵や畑を巡りました。

そして8日に行われたのが「海の恵みコース」。しまなみ海道から宮島まで瀬戸内の魅力を堪能するプランです。

瀬戸内の気候や風土に触れることで、食材や習慣、歴史などによって育まれた食文化をより深く理解してもらう。参加者らは、瀬戸内を代表するグルメ、レモンやカキの産地を訪れ、生産者の話に耳を傾けました。

その後向かったのがベトナム人シェフ・チランさんのお店です。

★チランさん
「チランと申します。お店の名前チランは私のベトナム名になります。広島をメインに瀬戸内の食材を使って、出身のフレンチの技法でルーツのベトナム料理に落とし込むというコンセプトでやっています。」

カキとレモンを「あえて」使わず、広島の多様な食材を知ってもらいたい。チランさんは広島に来てから出合った広島サーモンや、ルーツであるベトナムを代表する生春巻きなど、食材や料理に込めた思いを語りました。参加者からはチランさんに質問が相次ぎました。

★参加者
「地元の食材を使って美味しいというのは最低限の条件のようになっている中で、ベトナムの歴史のことや食材のこと、丁寧に伝えていただけるのがいいなと思いました」
「瀬戸内の景色やアートをメインで来ていたんですけど、今回で食もすごくやっぱり。また次回ゆっくり来たいなと思いました」
★チランさん
「食というコンテンツから見た広島をいろんな角度から楽しんでもらえたんじゃないかなと思います。イメージを覆すような広島の懐の広さを感じられるコースを(今後も)楽しんでいただけたらなと思います」

食を目的にする旅は生産者や料理人といった「人」と出会う旅。「食」を通して広島の熱烈ファンが増えるのか。今後の取り組みに期待です。

【2024年3月12日 放送】

    広島テレビのニュース