【かけこみ解説】米大統領選挙「激戦州紹介」トランプ・ハリス両候補がしのぎを削る7州の特徴や争点とは?
直前に迫ったアメリカの大統領選挙。日本の選挙とは違い、州ごとに勝敗が決まり、勝った州の選挙人を“総取り”する方式のため、ハリス氏・トランプ氏の支持率が拮抗している「激戦州」と呼ばれる州での勝敗がカギとなります。今回、アメリカメディアなどが「激戦州」としているのは7州。それぞれどのような特徴や争点があるのか、まとめました。
バイデン大統領の出身地。今回の激戦州の中で最も選挙人が多く、2016年はトランプ氏が、2020年はバイデン氏がこの州を制し、大統領となっていて、激戦州の中でも要とされている。鉄鋼業などが衰退した「ラストベルト(さびついた工業地帯)」に位置していて、労働者階級が多く、食料品価格の高騰など物価高への経済政策が重視されている。
ライト兄弟が初の動力飛行に成功した場所。今回の激戦州の中では唯一、2020年にトランプ前大統領が勝利した州。元々は白人が多く、共和党寄り。ハイテク企業や研究機関が集まる「リサーチ・トライアングル」があり、近年は民主党寄りの州からの移住者が増加。黒人やラテン系など多様な人種が増え、どちらに票が転じるか見えなくなっている。
コカ・コーラ発祥の地。元々は共和党寄りの州だが、2020年は0.3ポイントの僅差でバイデン大統領が勝利。黒人の人口が多く、前回は民主党が黒人票を取り込んだことが勝利のカギとなった。また、その大統領選でトランプ氏が敗北を覆そうとしたとして州法違反に問われ、起訴されている。公判は大統領選後になるが、投票に影響を与える可能性も。
五大湖のうち4つの湖に囲まれた自然豊かな州。ゼネラル・モーターズやフォードなど自動車産業の中心地でもある。去年、バイデン氏が現職の大統領として初めて全米自動車労働組合のストライキに参加し、支持を集めた。一方、アラブ系の人口が多く、ガザ地区をめぐる問題で、現政権のイスラエル寄りの態度を批判する声が高まっている。
世界最大規模の渓谷、グランドキャニオンで知られる。メキシコと国境を接していて、不法移民の流入が絶えない。現政権下で不法移民が過去最多となったこともあり、住民の多くが厳しい移民政策を求めている。一方、4月に人工妊娠中絶を禁止する州法が復活したことで、中絶の権利を支持する動きが拡大。中絶に否定的な立場をとる共和党には痛手。
アメリカ最大の酪農地で、チーズの生産量は全米1位。中産階級が多く、物価高の解消などを求める声が多い。元々は民主党寄りの州だが、2016年にはトランプ氏が勝利。一方、州内の農家の3割は移民で構成されており、移民がいなければ農業が成り立たないため、移民推進派が多い。
「眠らない街」ラスベガスがあり、きらびやかな印象がある一方で、失業率は全米で最も高い。“チップに税をかけない”など減税政策を求める住民が多い。また、メキシコとの国境が近く、移民政策の強化を求める層も厚い。直近12回の大統領選中、ネバダ州を制した者が大統領になった回数は10回。