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首相、集中審議でどう説明?論戦のポイント

2017年7月24日 17:20
首相、集中審議でどう説明?論戦のポイント

 国会で24日、加計学園の問題などをめぐる集中審議が衆議院予算委員会で行われた。加計問題、日報問題と安倍首相出席の下で、どんな論戦になったのか。内閣支持率が急落している安倍首相にとって、この集中審議は正念場と言える。

 論戦のポイントは3つ。

 1:安倍首相「丁寧な説明」は?

 これまでのような強気の答弁を封印し「丁寧に説明をする」と話していた安倍首相が、一連の問題にどう答えたのか。

 2:文科省の前川喜平・前次官と和泉・首相補佐官との“直接対決”

 前川氏に「一連の問題のキーパーソン」と名指しされた和泉補佐官が国会に出席するのは24日が初めてで、どんな説明をするのかが注目された。

 3:日報問題での稲田防衛相の関与


■ポイント1 安倍首相「丁寧な説明」は?

 まず、安倍首相は加計学園をめぐる問題について、「説明不足だった」と謝罪した。

 安倍首相「私の友人が関わることでありますから、国民の皆さまから疑念の目が向けられることは、もっともであります。思い返しますと、今までの答弁において、その観点が欠けていた。足らざる点があったことは、率直に認めなければならないと思います」

 野党側は「安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長が会食やゴルフを重ねている」と指摘。こうした親密な関係を背景に「安倍首相が加計学園の獣医学部新設に働きかけを行ったのではないか」と追及した。しかし、安倍首相は改めて「働きかけや依頼は全くなかった」と説明した。

 次に、「加計学園の獣医学部新設の申請をいつ知ったのか」。安倍首相は「今年1月20日に初めて知った」と述べたが、野党側は「ありえない」として厳しく追及した。

 民進党・大串政調会長「昨年9月から秋にかけて、国家戦略特区諮問会議、そこでいろんな議論が行われているんです。総理だけが知らないなんて、ありえないですよ」

 安倍首相「民間委員が入ってオープンな議論を行っていく。そこの中身について、私に報告がなされることは、これはないわけであります」


――野党側は「ありえない」と指摘しているが、これはどういうことか。

 獣医学部の新設をめぐる議論は去年9月から国家戦略特区諮問会議で行われていて、獣医学部の新設を、規制を緩和して決定したのは去年11月9日。今年1月4日には事業者の公募が始まっていた。

 大串議員は「安倍首相が国家戦略特区諮問会議に議長として出席しているのに、加計学園に決まった1月20日に初めて知るのはおかしい」と指摘した。


■ポイント2 前川氏と和泉氏“直接対決”

 前川前次官が「全体のシナリオを書いているキーパーソン」と指摘してきた和泉首相補佐官が参考人として出席した。

 前川氏は、和泉補佐官から獣医学部の新設をめぐり、「総理は自分の口から言えないから、自分が代わって言う」などと働きかけを受けたと証言していた。

 和泉首相補佐官「『首相が自分の口から言えないから、私が代わりに言う』。こんな極端な話をすれば、私も記憶が残っております。そういった記憶が全く残っておりません。従って言っておりません。言っておりません」

 前川前次官「私は、首相はご自身では言えないのだというふうに思いましたので、『首相が自分の口からは言えないから』というお言葉を聞いた時に、これは加計学園のことであると確信した次第でございます」

 和泉首相補佐官は発言を全面的に否定し、両者の主張は平行線をたどった。


■ポイント3 日報問題での稲田防衛相の関与

 稲田防衛相をめぐっては、南スーダンのPKO(国連平和維持活動)部隊の日報が陸上自衛隊内で見つかった事実について、今年3月の国会で「報告はされなかった」と説明していた。

 しかし、複数の防衛省関係が「この1か月前には報告した」と話していて、答弁が虚偽だった可能性が出ている。

 稲田防衛相は24日、「報告を受けて了承するとか、隠ぺいを了承することはない」と改めて主張したが、野党側は厳しく追及した。

 稲田防衛相「私は報告を受ければ、それは必ず公表すべしという考えですので、政治姿勢と真逆の隠ぺいをするとか、非公表を了承することはありません」

 共産党・笠井亮議員「大臣ね、それはあなたの言い分なんですよ。大臣自身が疑惑の渦中で聴取を受けたなんていうのは、前代未聞のことであります」

 野党側は稲田防衛相の罷免を要求したが、安倍首相は改めて、応じない姿勢を示した。

 安倍首相「閣僚の任命責任は、全て総理大臣たる私にあります。閣僚に対する厳しいご指摘については私自身、真摯(しんし)に受け止めなければならない。稲田大臣には引き続き、日報問題について徹底的な調査を行い、改めるべき点があれば大臣の責任において徹底的に改善し、再発防止を図ることにより、その責任を果たしてもらいたい」


■国民納得の論戦を!

 24日の論争を通じても、互いの主張は平行線をたどり、真相解明には至らなかった。

 集中審議は、安倍首相出席の下、25日にも参議院で行われる。「言った」「言わない」の応酬ではなく、反論には具体的な根拠を示すなど真相解明につながる論争を、与党も野党もしてほしいものだ。