【独自解説】過去には「再び挑戦することはない」と発言も…『大阪都構想』3度目の挑戦か!?“万博後の目玉”?民意は得られるか?…維新・吉村代表に立ちはだかる様々な壁
『大阪維新の会』は2024年11月19日、吉村洋文代表の任期満了に伴う代表選を行い、吉村氏が再選を果たしました。そこで飛び出したのが、過去に2度住民投票で否決された「『大阪都構想』の案をもう一度考えたい」という発言でした。3度目の挑戦に立ちはだかる様々な壁とは?『読売テレビ』平田博一記者の解説です。
■2度目の否決の際は「再び挑戦することはない」と発言も…吉村代表の“都構想”を巡る発言の変遷 背景には何が―
まずは、これまでの吉村代表の発言を振り返ります。2020年に、『大阪都構想』が住民投票で2度目の否決となった際には「都構想は間違っていたのだろう。僕自身が再び挑戦することはない」と話していましたが、2023年の大阪府知事と大阪市長を選ぶ「大阪ダブル選」の後には「(3度目の住民投票について)否定するものではない」と発言。さらに、2024年10月の衆院選当日には「まずは万博。その後は、どうなるか分かりません」と話すなど、『都構想』を巡る発言に変化が見られました。
実は、党内でも「吉村代表は『都構想』の3度目の挑戦に意欲があるのではないか」と言われていて、いつ公の場で表明するのかが注目されていましたが、2024年11月19日に、ついに、その瞬間が訪れることになりました。あくまで大阪維新の会、内部の案としてですが、「大阪都構想をもう一度考えたい」という発言をしたのです。
大阪選出の維新の国会議員は、取材に対し「ついにこの時が来た」と話し、事実上、『大阪維新の会』が、再び、“都構想”を掲げて動き出すことになりました。維新が、3度目の挑戦に向けて動き出した背景には、大きな“危機感”があると考えられます。
■“万博後の目玉が必要”と考えたか!?お膝元・大阪でも支持者減に大きな危機感
まずは、選挙結果です。2024年に入ってから、大阪府内の選挙でも厳しい結果が続いていました。そして、2024年10月の衆院選です。大阪では小選挙区は全勝しましたが、比例票を見ると、大阪でも前回の衆院選から約56万票減らす結果となったのです。
また、『大阪維新の会』の調査で、この1~2年で支持者が約25%減っているというデータもあります。吉村代表は、衆院選の結果について、「決して大阪で評価されたわけではない。“自民党よりはマシ”という選択になっただけ」と話すなど、維新の現状について、非常に強い危機感を持っていることが分かります。
党内部では、「『大阪維新の会』は、何を目指して進んでいく政党なのか」という党の存在意義が薄れてきているという声もあがっていました。今は『万博』という大きなテーマがありますが、維新の関係者は「“万博後の目玉が必要”だと考えたのでは」と話しました。
■吉村代表「“都構想”の制度案はゼロベースで検討」 議員からも疑問や困惑の声
そんな中、議員の間でも、今回の吉村代表の発言に対して疑問を呈するような声があがっています。2回目の住民投票の際には賛成をした『公明党』の関係者は、「『二度としない』と言ったのに、維新らしい発言。『なんかやらないかん』という理由で掲げているのだろう」と突き放すような様子でした。
また、維新の関係者からも、吉村代表から「“都構想”の制度案はこれまでのものを踏襲するのではなく、ゼロベースで検討する」という発言があったことを受けて、「ゼロから作るには相当、時間がかかる。早急に内部で進め方を考えなければならない」と困惑の声も聞かれました。
■一度はマニフェストから外した『都構想』 3度目に挑戦する意義は?
今回、非常に大切になってくるのが、『民意』だと思います。『大阪都構想』は2015年と2020年に2度否決されていて、2023年4月の大阪府知事と大阪市長を選ぶ『大阪ダブル選』では、維新は、マニフェストから『都構想』を外しています。
吉村代表も、2024年11月19日、「3度目に挑戦すると宣言したわけではない。挑戦するなら民主的なプロセスが必要」と話すなど、『都構想』に挑戦する場合は、『民意』が必要だという考えを示しています。
そこで気になるのが、今後のスケジュールです。『維新』は、半年から1年の間に新たな制度案を取りまとめたいとしています。その後、『民意』を問うタイミングの1つとして言われているのが、2027年春に行われる『統一地方選』です。ここで、維新が、再び『都構想』をマニフェストに掲げて、信を問う可能性が指摘されています。ただ、維新が制度案を取りまとめてから統一地方選までは約1年半あることから、それまでの間に、例えば、『知事・市長の出直し選挙』や『住民投票』などを行って、民意を問う可能性も噂されています。
『大阪都構想』は『民意』で2度否決されています。3度目に挑戦するのであれば、その意義がどこにあるのかを『新たな制度案』で示すことができるかどうかが、今後、大きなポイントになると思います。
(『読売テレビ』平田博一記者)
(「かんさい情報ネットten.」2024年11月20日放送)