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【独自取材】「良い所に住んだと思っていたけど…」近隣に突然『民泊』開業で生活一変 ルール破り繰り返す迷惑客に住民らが怒りの抗議!実は他人事ではない社会問題、管理会社や行政の対応は?

2025年1月31日 16:00
【独自取材】「良い所に住んだと思っていたけど…」近隣に突然『民泊』開業で生活一変 ルール破り繰り返す迷惑客に住民らが怒りの抗議!実は他人事ではない社会問題、管理会社や行政の対応は?
閑静な住宅地に広がる“異様な光景”

 日本は今、インバウンド特需の真っただ中。不足する宿泊施設の穴を埋める新業態『民泊』が注目されていますが、その開業を巡って深刻な事態に陥っている住宅地を緊急取材しました。入手した映像に映っていたのは、深夜の騒音・たばこのポイ捨てなど、宿泊客による迷惑行為の数々…。許可を出した行政・管理する事業者の対応は―。

■騒音・歩きたばこ・ポイ捨て・引火の可能性がある危険な行為も…民泊の周辺住民「どうにもならない」

 東京・北区、JR王子駅からほど近い閑静な住宅地。袋小路に置かれた看板の数々は、異様な光景です。

『民泊に断固反対』
『アパートでの施設に戻せ』

 問題の民泊施設の入り口横には、英語と中国語で書かれた看板も。周辺住民たちがこぞって自宅に手作りの看板を掲げ、「反対」の声をあげる異常事態の背景には、一体何が…?

(民泊の周辺住民)
「騒音・歩きたばこ・ポイ捨て。始まる前から予想はできていたので、『ちゃんとそういうのを管理してくださいよ』と言ったけど、現実的には、常駐して管理する人がいないから、どうにもならないです」

(民泊の周辺住民)
「マナー違反に対する事業者の管理が、あまりにずさん」

(民泊の周辺住民)
「子育て世帯には不安が大きいです」

 『ミヤネ屋』は、民泊の宿泊者たちを捉えた映像を入手しました。すると、深夜、寝静まった住宅街に響く笑い声が…。

「オーーーイェーーーー(笑)」
「あはははは(笑)」
「グッバイ~Have a nice day~(笑)」

 外国人が多く利用する民泊予約サイトを見ると、この施設の宿泊費は一泊9700円。ハウスルールには、「夜8時以降は騒音禁止」や「禁煙」の文字もあります。

 ところが、住民が提供した映像には、宿泊者が路上でたばこを吸う姿が。しかも、火のついた吸殻を住民たちのゴミ捨て場にポイ捨て。火の粉が激しく散り、引火の危険性さえ感じさせる行為です。

 毎日のように現れる新たな宿泊客と繰り返されるルール破りに、周辺住民らは「民泊反対」の声をあげているのです。

■突然の“民泊開業”通告に「えっ?」 住民説明会でも具体的な説明なく…両者平行線のまま営業開始もトラブル続出

 騒動の始まりは、2023年11月下旬に住宅に投函された、「住宅宿泊事業の届出に関するお知らせ」と題する一枚の通告書。これから東京・北区に届けを出して『民泊』を開業するという、突然の通告でした。

 問題の施設は、6軒の住宅が集まる袋小路の一番奥にある、3階建ての集合住宅です。

(民泊の周辺住民)
「『えっ?』という話になって。周辺の人たちが集まって、『アパートだったらいいけど、民泊施設は困るね』と…」

 実はこの物件、最初は賃貸アパートとして新築されましたが、完成後に別の不動産管理会社が物件を購入し、民泊営業を始めると通告したのです。

 驚いた住民は、管理会社に説明を求めることに。『ミヤネ屋』は、その場での会話を入手しました。

-(管理会社の担当者)
-「皆様が一番懸念されているのは、騒音とトラブルがあった際の対応なんですが、そこは弊社のほうでセキュリティー会社を入れさせていただきまして」

-(住民)
-「管理人が常駐していないのに、大騒ぎしていたら、どうやって注意するの?現実的じゃないね」

-(管理会社の担当者)
-「皆さんに迷惑をおかけしないように、運営させていただく所存です」

 管理会社の説明に、不信感を露わにする住民たち…。

 また、スーツケースの車輪の音について、別の日の説明会では…。

-(管理会社の代理人)
-「基本的には、キャスター付きとはいえ、広い通りから建物に入るまでは、もう担いでもらうしかないと。それを徹底する、ということになります」

 結局、両者は平行線のまま、東京・北区は管理業者の届け出を受理。2024年7月に、民泊の営業が始まりました。

 すると、宿泊客が引くスーツケースのキャスター音に、住民たちは悩まされる事態に。しかも、チェックインの締め切り時間(午後10時)を過ぎて到着する客も続出するなど、近隣トラブルが多発。状況は、いまだに改善しないといいます。

 住民への配布物には「騒音に対する注意・路上喫煙禁止・ゴミの分別などを宿泊者に説明する」と明記されていて、事前説明会も複数回実施されましたが、参加した住民によると「『管理は別の会社に任せます』というだけで、具体的な体制など説明がなかった」ということです。

(民泊の周辺住民)
「この家を建ててから32~33年。JRの駅から数分だから、『良い所に住んだ』と思っていたんだけど。常に気持ちがスッキリしない、常に…」

■他人事ではない『民泊』トラブル 解決の糸口は?「行政も含めて考えていかなければいけない」

 ある日突然、自分の住まいのすぐ近くで、不特定多数が出入りする民泊が開業した―そんな時、住民たちは何ができるのでしょうか?

 専門家は―。

(民泊問題に詳しい行政書士・石井くるみ氏)
「住民の方が直接許可を取り消すことなどはできるものではありませんので、そういった苦情やご相談があれば、許可を出している東京・北区の保健所に相談されるといいのかなと思います」

 一方で、東京・北区の担当者は「騒音やポイ捨てなどは、改善してほしいと事業者へ伝えている。チェックインの時間は、区が指導することはできない」としています。

 また、この民泊を所有・運営している管理会社は、『ミヤネ屋』の取材に対し「取材はお断りしています。こちらから何か言えることはありません」と回答しました。

 石井氏は、「民泊は宿泊者と事業者のニーズがあり、新たな空間の活用として必要だと思うが、民泊がビジネスとして広がってからトラブルが増加した」「袋小路の場合は、住民が承諾しないと許可しないと自治体もある。そういったルールが必要かもしれない」と話しています。

 また、石井氏によると、ある日突然『民泊』が自宅の隣にオープンすることもあり、誰もがトラブルに遭う恐れがあるということです。

Q.自宅の隣が突然『民泊』になる可能性もあるんですね?
(『読売テレビ』野村明大解説委員)
「自治体によっては条例・ルールを決めて厳しくすることはできますが、東京・北区の場合はそれをやっていないわけです。民泊の抱える本質的なテーマだと思いますが、住宅街に民泊があると、近隣住民は観光で落ちるお金などの恩恵をほとんど受けず、負担や迷惑ばかりがかかることになります。そこは、もっと行政も含めて考えていかなければいけないと思います」

 出口のない袋小路に迷い込んでしまった、周辺住民たちの生活。この先、解決の糸口は見つかるのでしょうか―。

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年1月17日放送)

最終更新日:2025年1月31日 16:00
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