【解説】ライブ配信や投稿の“リスク” 専門家「場所公開は絶対やめて」背景や天候でも特定のおそれ
動画のライブ配信中だった女性が、刺されて死亡する事件が起きました。自分の居場所を、不特定多数の人たちに知らせてしまうかもしれない“ライブ配信”。そこに潜む危険性とは?
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インターネット上のトラブルや事件に詳しい、成蹊大学客員教授の高橋暁子さんにうかがいました。
山崎誠アナウンサー
「取材の中で高橋さんが強く話していたのが、動画のライブ配信では、『場所の公開は、絶対にやめた方がいい』『事件などに巻き込まれるリスクが特段に上がる』と警鐘を鳴らしていました」
「そもそも動画のライブ配信は、コロナ禍でお金を稼ぐ手段として利用者が一気に増えたそうです。スマートフォンが1つあればできる手軽さも、その要因だということです」
「収入を得る仕組みですが、視聴者が有料のアイテムを購入して送ると、配信者の収入になるというものです。いわゆる“投げ銭”です」
森圭介キャスター
「私もライブ配信を見たことがありますが、応援する気持ちを“投げ銭”に込めているわけですね。その“投げ銭”をすることで、配信者がリアクションをしてくれる。それがうれしくて、どんどん“投げ銭”をする方もいるんだろうと思います」
山崎アナウンサー
「配信者ですが、一般の人でも月に100万円ほど稼ぐ人もいるということです。専門家によると、動画のライブ配信は、配信者と視聴者がリアルタイムでやりとりできる分、自分は配信者にとって特別な存在だと、誤解する場合もあるそうです」
「そうなると、借金をしてまで“投げ銭”をする視聴者もいるということです。借金をすると視聴者の生活にも大きな影響が出てしまうので、配信者を恨んだり事件やトラブルにつながったりする可能性が高くなるといいます」
鈴江奈々キャスター
「今回の事件でも、容疑者は200万円貸したが返してくれないという趣旨の供述があるようですが、金銭トラブルがあったとみられますよね?」
山崎アナウンサー
「そうですね。お金に関するトラブルがあったというふうな供述をしています」
「冒頭でもお伝えしましたが、動画のライブ配信での場所の公開は、その場に行けば“配信者に会える”と視聴者に伝えることと同じで、専門家は『絶対にやめるべき』と指摘しています」
「怖いのは場所を自ら公開しなくても、動画のライブ配信中に映り込んだ周囲の風景から、視聴者に配信している場所が特定されてしまうことです。これは、SNSへの投稿でも同じです」
山崎アナウンサー
「専門家が、注意が必要なものをあげました。建物の外観や看板、道路、そのときのお天気の情報、瞳に映る景色などです。また、屋外だけでなく屋内でも注意が必要で、カーテンの色、窓の形、間取りなどで、自宅が特定されてしまうこともあるそうです」
桐谷美玲キャスター
「私もSNSに投稿するときは、なるべくリアルタイムでの投稿はしないようにしたり、家の中で撮るときも白壁をバックにした写真を選ぶように気を付けています」
山崎アナウンサー
「まさにそういったことが大事だと思います。これらのリスクを理解した上で、動画のライブ配信は注意が必要ですし、SNSへの投稿でも、投稿前のチェックや時間差投稿など『意図しない場所の特定』に注意が必要です」