×

「時間を使って考えたい」が弱点? 藤井聡太八冠“崖っぷち”から勝利…叡王戦は最終局へ

2024年5月31日 21:02
「時間を使って考えたい」が弱点? 藤井聡太八冠“崖っぷち”から勝利…叡王戦は最終局へ
31日の対局に負ければ初のタイトル陥落となる藤井聡太八冠が、背水の陣で叡王戦第4局に挑んでいましたが、勝利を収め、決着は最終戦へと持ち越しとなりました。2連敗での崖っぷちとなっていたその背景には、藤井八冠のある弱点もあるようです。

決戦の舞台は、朝から小雨の降った千葉県柏市。会場近くにはファンが集結。

藤井八冠ファン
「有名な方が柏に来てくれてうれしい」
「(藤井八冠は)もう負ける気しない、今の時点で。勝ちましたね」

伊藤七段ファン
「2勝したときはうれしくて泣けました。 最後の会場に“叡王”で出てきてほしい」

様々な思惑が交錯する叡王戦五番勝負第4局。

先に部屋に入ったのは、将棋界のタイトルを独占する藤井聡太八冠(21)。続いて挑戦者の伊藤匠七段(21)。互いに21歳。同い年の対局です。

午前9時、戦いの火ぶたが切られました。

先に3回勝てば獲得できる「叡王」のタイトル。先勝したのは藤井八冠。しかしその後、伊藤七段が2連勝し自身初めてのタイトルに“王手”。藤井八冠は負ければ初のタイトル陥落となる“崖っぷちの一局”となっています。

この叡王戦で追い込まれた理由はなんなのか。実は藤井八冠には“意外な弱点”があるといいます。

藤井八冠(去年3月)
「“早指し”棋戦では結果が出せていなかったですけど、難しい局面であれば“時間を使って考えたい”と以前から思っている」

それは「早指し」です。つまり、持ち時間の少ない将棋が苦手と告白。獲得した八つあるタイトルのうち、名人戦など4つは2日かけて争う「2日制」。叡王戦など残り4つは1日で勝敗が決まる「1日制」の将棋。次の一手を考える時間も短いのです。

それぞれの勝率を比べてみると、2日制は約84%に対し、1日制では約76%にダウン。

対局場近くで開かれたイベントには、約350人のファンが集まり勝負の行方を見守りました。

藤井ファンの女性が抱えていたのは…

藤井八冠のファン
「勝ち守りです、“聡太先生”のために。いろんなところの神社にお参りに行って」

その数26個。“先生”のきょうの調子は…

藤井八冠のファン
「もう鬼強モードになってらっしゃるので」

伊藤七段のファンも…

伊藤七段のファン
「(藤井八冠は)鬼鬼鬼鬼、鬼。藤井聡太叡王だと思いました」

一方、31日の勝敗に運命をゆだねるのが、山梨県甲府市の常磐ホテルです。

常磐ホテル営業部長 小沢行広さん
「この部屋で対局をします」

6月20日に行われる叡王戦第5局の開催地です。

実はこれまで…

常磐ホテル営業部長 小沢行広さん
「(藤井八冠が)実際にタイトル戦で指されたのは1回。“流れちゃった”のが4局か5局」

去年予定されていた3度のタイトル戦は、藤井八冠が強すぎるあまり“消滅”。31日に伊藤七段が勝つと、またも開催がなくなってしまうのです。

従業員も…

常磐ホテル 従業員
「そわそわしますね。社員全体で応援したいのでここで対局してほしい」

その願いが通じたのか、藤井八冠が粘りをみせタイにもつれこんだ叡王戦。6月の第五局に注目です。