公職選挙法に抵触か 兵庫・斎藤知事のSNS戦略、違法性は?【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「斎藤知事のSNS戦略 違法性は?」をテーマに解説します。
山崎誠アナウンサー
「兵庫県の斎藤知事の選挙戦でPR会社への対価の支払いが公職選挙法に抵触する可能性が指摘されています。斎藤知事が25日に取材に応じました」
兵庫県 斎藤知事
「今回の件について、公職選挙法違反になるようなことは、私はないと認識しております。SNSなどについては、あくまで斎藤、斎藤事務所が主体的にやっていた」
山崎誠アナウンサー
「11月20日に兵庫県にあるPR会社の代表が、インターネットに投稿した記事がもととなっています。兵庫県知事選挙で『斎藤知事の広報全般を任せていただくことになりました』とつづられていました。ほかにも『新たな広報戦略の策定、中でもSNSなどのデジタルツールの戦略的な活用が必須でした』といった文言とともに、斎藤知事のXのトップ画面で使用されている画像を『提案資料』として掲載していました。この記事が投稿された後、SNSでは『公職選挙法違反では?』という声が相次ぎました」
鈴江奈々キャスター
「この公職選挙法ってあまり身近な法律ではないので、どこを超えたらアウトかという線引きが難しいですよね?」
斎藤佑樹キャスター
「どういうことをしたら公職選挙法違反になるのか、確かに僕らはあまり知らないことですよね」
山崎アナウンサー
「報酬を支払ってもいい場合とだめな場合というのがあります。まずいい場合ですが、公職選挙法では『選挙運動のために使用する事務員』『車上等運動員』いわゆる『うぐいす嬢』などです。さらに『手話通訳者』など、こういう人たちには定められた金額の中で報酬を支払うことは認められています。そのほか選挙活動にかかる費用、例えばポスター、ビラ、車代、こういったものに関しては公費でまかなわれます(自治体による)」
「では報酬を支払ってはいけない場合とはどういったケースなのか。大原則として、選挙運動を行った人物に対価として報酬を払うのは買収罪が適用されてしまいます。選挙運動というのは、例えば街でチラシを配るなど、応援してくれる人に報酬を払う場合はNGになります。これはインターネット、SNSでの活動も当てはまります。総務省のホームページには『選挙運動用ウェブサイト・選挙運動用電子メールの企画立案を行う業者への報酬の支払いについて、一般論としては業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、買収となるおそれが高いと考えられます』とあります」
瀧口麻衣アナウンサー
「では、選挙ポスターをつくる時に印刷会社にお願いするというのは大丈夫なのでしょうか?」
山崎アナウンサー
「その場合、もうデザインが決まっていて、これで印刷をお願いしますという場合にはOKです。ただ、こういうデザインの方が選挙運動的にいいんじゃないですかと印刷会社が企画の提案をしたとしたら、その候補者が有利になるように選挙運動を行ったことになるので、それはNGだということです。つまり、機械的な作業だったらこの選挙運動の費用として認められますが、企画するなど主体的にやった場合は選挙運動にあたるということです」
森キャスター
「ただ、PR会社の代表がインターネットに投稿した記事には『SNSなどのデジタルツールの戦略的活用が必須でした』と書いてあったし、このSNS運用とか企画とか広報戦略というものが報酬を払って行われていたんであれば、公職選挙法に抵触するおそれがあるということですよね?」
山崎アナウンサー
「そういったところもポイントになってきます」
山崎アナウンサー
「こういったことも踏まえた上で今回のケースをみていきたいと思います。PR会社の代表の記事には、『私が監修者としてアカウントの立ち上げ、情報選定など責任をもって行い、運用していました』とつづられています。ほかにも斎藤知事に『#さいとう元知事がんばれ』作戦、つまり、SNS戦略について提案している写真も掲載されていたんです」
森キャスター
「斎藤知事ご本人も写っていますもんね」
山崎アナウンサー
「(掲載写真に)斎藤知事の姿はあります。『監修者として責任をもって』という文言も入っていました。こういったことが事実となりますと、主体的な選挙活動をしていると解釈される可能性もあるわけです。一方、斎藤知事は25日、次のように述べました」
兵庫県 斎藤知事
「SNSなどの考え方について意見を伺いましたけど、あくまで斎藤元彦、斎藤事務所として依頼したのはポスター制作など」
──契約書にはどういう業務内容が?
兵庫県 斎藤知事
「ポスターの制作などです。いずれにしても代理人が整理しているので」
──SNS・広報やってもらうと書いていない?
兵庫県 斎藤知事
「基本的にポスターの制作とか、成果物がでるようなものをお願い。総額で70万円あまりのお金を報酬、委託として」
──既に払ったのか?
兵庫県 斎藤知事
「そうですね」
山崎アナウンサー
「SNSについては、斎藤知事の事務所が主体的にやっていて、公職選挙法には違反しないと述べていました。さらにPR会社の代表が書いていた内容は、『個人のボランティアで対応したものだ』と述べていました」
森キャスター
「お金は?」
山崎アナウンサー
「報酬は払われていないということです。公職選挙法に詳しい亀井正貴弁護士に聞くと、PR会社が報酬を受け取った上で記事に書いてある仕事をしたのであれば、違法である可能性が高いということでした。ただ、両者食い違っていますので、どちらが正しいかが今後の争点になると話していました」
斎藤佑樹キャスター
「最近は選挙でもSNSの活用も増えてきていますけど、SNSをどう運営すればセーフなんですか?」
山崎アナウンサー
「今後のツールになってきますからね。選挙プランナーの戸川大冊さんに聞きました。選挙プランナーは候補者に戦略などを助言する人ですが、選挙期間中は報酬を受け取らないということです。戸川さんはSNSの運用について、『ボランティアに頼みましょう』と候補者に助言をするということです。候補者の中には、戸川さんに『やってくれないの?』と不満を言う人もいるそうです。選挙期間中に戸川さんが候補者に代わってSNSを運用したら違法になるので、戸川さんは受けないということでした。候補者であっても違法になるかどうか、なかなかわかっていないケースもあるということです。学生ボランティアがやってくれることもあるということでした」
鈴江キャスター
「立候補する当事者であってもこういった公職選挙法の線引きというところがなかなか難しいところもあるという話ですが、今回の選挙戦でSNSの活用というところが大きく注目されたからこそ、両者の主張にちょっと食い違いがあるところが、今後、争点になってくるんでしょうか?」
山崎アナウンサー
「そのあたりもポイントになってくると思います。こういった公職選挙法に抵触する可能性というのが指摘されているんですけれども、斎藤知事は25日の取材で違法性については指摘を改めて否定しまして、PR会社の代表が書いていた内容は、『個人のボランティアで対応していただいた』と述べていました。今後について斎藤知事は、代理人弁護士と相談をしながら対応していくとしています」
(2024年11月25日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)