南海トラフ巨大地震「特段の変化は観測されず」 8月の臨時情報発表については「やるべきことできた」
気象庁は、南海トラフ巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会で、「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。一方、ことし8月に初めて発表された南海トラフ臨時情報について、発表までの手順を振り返り、「やるべきことはできた」としています。
今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震、気象庁は専門家による定例の評価検討会を開き、想定される震源域や周辺で起きた地震や地殻変動などについて分析をおこないました。
先月1日から今月3日までの期間に南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺で起きた最も規模の大きな地震は、先月16日に日向灘で発生した最大震度3の地震でした。
この地震はフィリピン海プレートと陸のプレートの境界で起きたものでしたが、プレートの状態に変化をもたらすものではないと評価しています。
また、南海トラフのプレートの沈み込みに伴って長期的に地盤が沈んでいる静岡県御前崎などでは、大きな変化はみられないということです。
こうしたことから、検討会は南海トラフ周辺で「大規模地震の発生の確率が相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
一方、8月に初めて出された「南海トラフ地震臨時情報」について、地震発生から発表までの手順を振り返り、「ほぼ予定通りの時間で出すことができた。全体としてみれば、やるべきことはきちんとできた」などとしました。
評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、南海トラフ沿いではいつ地震が起きてもおかしくないとして、地震への備えを続けるよう呼びかけています。