新幹線チケットの“不正購入”8億円超か 「ワナにはまった」…被害男性が語る手口 エクスプレス予約の「偽メール」に注意
JR東海の予約サービスから新幹線チケットを不正購入したとして、男女2人が逮捕されました。被害に遭った男性はzeroの取材に「ワナにはまって完全にだまされた」と訴えました。同社では8億円以上の被害が確認されています。被害を防ぐ方法を考えます。
24日夜、JR東海などのチケット予約サービス「エクスプレス予約」をかたった偽メールを見せてもらいました。今年3月、京都市に住む40代男性に届いたもので、「第三者が不正に利用を試みた可能性があります」と書かれていました。
8万1720円分の新幹線チケットが第三者に予約されたとして、パスワードの再登録を勧めています。男性は「完全にだまされましたね。僕はもう、ワナにはまってたんですね。のぞみのチケットを計20万円分買われていた」と語ります。
JR東海では今年1月以降、不正利用により8億7000万円もの被害が確認されています。こうした被害を巡って逮捕者も出ています。
私電磁的記録不正作出などの疑いで逮捕されたのは、中国籍の劉虎容疑者(33)と、ベトナム国籍のブ・ティ・チン容疑者(28)です。
警視庁によると2人は仲間と共謀して今年7月と8月、不正に入手したエクスプレス予約会員のIDやクレジットカード情報を使い、新幹線のチケット約70万円分を購入した疑いが持たれています。
劉容疑者は、東京─新大阪間の自由席特急券18枚を購入。すべて東京・新橋の金券ショップに持ち込み、転売していたとみられます。
8億円以上の被害は、どのように起きたのでしょうか。
不正利用に遭った40代男性のもとには、複数回にわたってエクスプレス予約をかたる偽メールが届き、メールに記載されたサイトに飛びました。
男性
「(メールがおかしいとは)まったく思わなかったです。JR東海さんのホームページをよくここまでまねたなっていうぐらい、本当に本物そっくりに作られたログイン画面が表示されたんですね」
そのサイトでパスワードを変更すると、何者かにウソのサイトで記入したログイン情報を読み取られ、複数回にわたり約20万円分のチケットを購入されたといいます。JR東海によると、新大阪から東京行きを4人分買われていました。
チケットはその日のうちに何者かによって発券されていたということです。幸いカード会社が対応し、金銭的被害はありませんでした。男性は「本当に怖いですね。自分はしっかりしていると思っていたんですよ。でも引っかかっちゃったんですよね」。
JR東海の予約サービスの利用者は1000万人以上に上ります。
あるエクスプレス予約の会員は「よく使っています。新幹線というところがすごいリアルだなと。交通機関とかは誰もが使うもので、なりすまされて、かつ手口が巧妙だと気づかない可能性もあるので、怖いなとは思います」と話しました。
被害を受けて、JR東海は「引き続き警察当局およびクレジットカード会社と連携して対策に取り組んで参ります」というコメントを発表しました。
私たちが不正利用に遭わないためには、どうすればいいのでしょうか。
不正利用に詳しいITジャーナリストの三上洋さんは「今の偽サイトや偽メールは判別が難しいため、不安な時は公式サイトや電話サポートに問い合わせてほしい」と話します。
警視庁は、組織的な犯行の可能性もあるとみて、押収したスマホなどの解析を進める方針です。
(10月24日『news zero』より)