東日本で初──女川原発、13年ぶり「再稼働」 経産相は「極めて重要」 東西の“電気代格差”どうなる?…柏崎刈羽にも影響か
東日本大震災で被害を受けた東北電力の女川原発が29日、東日本で初めて再稼働しました。デジタル技術の利用拡大などで電力需要は高まるとみられている一方で、日本は多くを火力発電に頼っています。女川原発の再稼働は今後どんな影響を及ぼすのでしょうか。
「3、2、1、0」。29日午後7時、宮城県にある東北電力の女川原発2号機が、13年7か月ぶりに再稼働しました。東日本で原発が再稼働するのは、初めてのことです。
東日本大震災による津波で浸水被害があった女川原発。敷地が最大1メートル地盤沈下するなどしましたが、2020年には新たな規制基準による審査に合格しました。海抜29メートルの防潮堤を整備し、原子炉建屋の耐震補強を行うなど、安全対策工事を完了させました。
国内にある原発は33基。東日本大震災以降、これまで再稼働した原発は12基ですが、全て西日本にありました。
東北電力は11月7日から発電をスタートさせ、12月ごろには各家庭へ本格的に電気を送る予定です。
女川原発の付近では29日、住民が集まって「再稼働するな!」と再稼働中止を訴えました。参加した1人は「この地震が多発する日本には、原発の立地の適地は一つもありません」と力を込めました。
一方、武藤容治経済産業大臣は再稼働の意義を強調します。
29日の会見で「今後、電力需要の増加が見込まれる中で、東日本における電力供給構造の脆(ぜい)弱性や電気料金の東西格差、脱炭素電源による経済成長機会の確保という観点から、東日本の原子力発電所の再稼働は極めて重要」と述べました。
電力中央研究所によると、2050年の電力需要は2022年度に比べ、最大で4割増える可能性もあるという予測もあります。需要が高まっている要因の一つが、生成AIなどデジタル技術の利用拡大です。
千葉・白井市にある、データ処理をするインターネットイニシアティブのデータセンターを訪ねました。サーバーがところ狭しと並べられています。このセンターだけで、家庭用パソコン約300万台分の処理能力があるといいます。
インターネットイニシアティブの堂前清隆さん
「AIでも電力消費は増えていますし、電力の消費量という点ではかなり大きなものになると思います」
電力需要が高まる中、発電の約7割を火力発電に頼っている日本。女川原発の再稼働で今後、どんな影響があるのでしょうか?
岩田明彦・日本テレビエネルギー担当
「東日本大震災以降、東日本では一基も原発が動いていなかったこともあり、東日本は西日本に比べて電力需給がひっ迫したり、電気料金が高くなったりしていました」
「東北電力の電気料金はすでに、原発再稼働を前提にした料金が設定されています」
「これだけで電気料金が安くなるということはありませんが、今後、今回の再稼働をきっかけに東日本でも原発の再稼働が進むことになれば、電力需給に余裕が出たり、料金の負担が縮小したりする可能性があります」
「また今回、安全対策に手間のかかる『沸騰水型』原発の再稼働が初めて実現したことは、政府が再稼働を進めたい同じ型の柏崎刈羽原発(新潟県)などの再稼働にも影響するものと思います」
(10月29日『news zero』より)