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津波影響か?三陸で「ウニ」大量発生

2017年4月5日 19:22
津波影響か?三陸で「ウニ」大量発生

 寿司ネタでもおなじみ、高級食材のウニに異変が起きている。産地では、ウニが多すぎて漁師が頭を悩ませているという。何が起きているのだろうか。


■三陸の海で起こった異変

 都内のウニ料理専門店でお造りに使われていたのは、北海道産のキタムラサキウニ。キタムラサキウニは、大ぶりで身が崩れにくく甘みが強いという。4月の後半からは、三陸産のキタムラサキウニが入ってくるという。

 実は今、このキタムラサキウニをめぐり、三陸地方である異変が起きている。宮城県・南三陸町の歌津漁港を訪ねた。一体、海の中で何が起きているのか。特別に船に乗せてもらいその現場へと案内してもらうことができた。

 去年5月に撮影された海中の映像では、水深10メートルほどの海底に、大量のウニが生息していることが確認できる。これらはすべてキタムラサキウニで、大きさは3~7センチほどだという。


■津波で海の環境変わった

 なぜ大量発生しているのか。歌津支所青年部・千葉さんによると「震災と津波」だという。津波で海が変わったのだ。

 東北大学大学院・吾妻行雄教授も、津波の影響で海の環境がガラリと変わったことや、ウニの天敵となるヒトデなどが流され、いなくなったことなどが原因とみている。ウニの大量発生で、地元ではうれしい悲鳴かと思いきや―


■大事な収入源のアワビが…

 千葉さん「アワビがここ名産なんですけど、エサになる海藻が根こそぎなくなっている状態で、アワビの生息する場所がない状態です」

 2013年頃からウニが海藻を食べ尽くし、海藻が生えていない「磯焼け」が起きているという。2012年に南三陸沖で撮影された写真を見てみると、コンクリート周辺にはたくさんのコンブがあったが、翌年撮影された写真にはコンブがなくなり、大量のウニがコンクリートにへばりついていた。

 千葉さんは「アワビは大きい収入源なので、エサが食べられない、数が減るというのは深刻な問題です」と話す。


■ウニも売り物にならず

 さらに、新たに分かったことが出てきた。これらのウニは身の入りが悪く、また色も黒ずんでいる。エサとなる海藻がないため、ウニ自体の身が小さく、売り物にならないという。

 こうした中、このウニの身を大きくしようと試験的に養殖が始められた。漁協歌津支所青年部・高橋さんによると、身は3か月ほどで大きくなることが分かったが、味はまだ天然モノに及ばないという。高橋さんは、時間をかけた方がいいか、エサを変えた方がいいか、いろいろと検討していきたいと話している。