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東京医大問題、本質は「ブラック労働環境」

2018年8月7日 15:57
東京医大問題、本質は「ブラック労働環境」

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「東京医大 女子受験生の点数減点」――外科医の中山祐次郎氏に聞いた。

文部科学省を巡る汚職事件で、前の理事長が起訴された東京医科大学が、入学試験で女子受験生の点数を減点し、合格者数を抑えていたことが複数の関係者への取材でわかった。

ネット上では「医療現場の男手不足の問題とセット」「根強い性差別を世界にさらした」「合格しなかった女性に受験費を返して」などの意見があった。


――この問題、本質をどう捉えていますか。

このニュースを私も見て、本当に驚きました。大前提として、本当だとしたらすごくひどい話ですよね。


――フェアじゃないですよね。

そうですね、受験生の立場では本当にひどいんですが、その一方で、私は「本質は医師のブラック労働環境」にあると考えています。

これは、東京医大はこうやって女子学生を受かりづらくして、つまり逆に言うと、男子学生を受かりやすくして、男性医師を量産する方向にしていたと。これは、なぜかというと、女性医師はやっぱり出産や育児などで、医療現場に一生涯とどまっていくことが難しい場合が今の状況ではまだまだあるからなんです。

そのせいで定着率というものは、男性と比べて非常に低いと。その分、女性医師が休みなどでいなくなった場合に、男性医師がその負担をすべて請け負うということになります。

医療現場というのは、ただでさえギリギリの状態で回しているという状況ですので、その時点で、男性でも女性でも1人減る、2人減るということは、かなり現場には壊滅的なダメージを与えるということになります。そもそもその補充要員もないギリギリの状況という労働環境が問題なんだろうと。


――医療現場の働き方改革が必要だということですよね。

そうですね。


■中山祐次郎氏プロフィル

外科医。中山氏は東日本大震災の被災地・福島県広野町の高野病院で院長を務めたのち、福島県郡山市の総合南東北病院で外科医長として、外科手術に携わってきた。現在は、京都大学医学部大学院で、臨床研究などを行う傍ら、ウェブメディアなどを通じ「医者とのコミュニケーション法」を伝えている。


【the SOCIAL opinionsより】