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築地場外市場火災 原因の“伝導過熱”検証

2017年8月14日 14:28
築地場外市場火災 原因の“伝導過熱”検証

 今月3日、東京・築地場外市場で発生した火災。原因とみられているのが、コンロの熱が壁の中の木材に伝わって発火する伝導過熱だ。この伝導過熱による火災は家庭でも起こるのか?実験した。


■火元は“壁の中”

 飲食店がたち並ぶところで起きた火災。火元はコンロではなく、壁の中とみられている。一体、どういうことなのか。東京理科大学を訪ね、専門家に話を聞いた。

 「(火災の原因は)伝導過熱によって、壁の中にある木材が過熱されて着火に至ったのではないかと思います」

 松山教授監修のもと、木材と厚さ0.3ミリのステンレスで厨房(ちゅうぼう)のセットを制作。コンロを壁から15センチ離して設置し、伝導過熱がどう起こるのかを検証した。強火で熱したときのステンレスの壁と木材の温度を、壁の中からサーモグラフィーで計測する。


■炭化の目視確認が難しい

 火をつけてから約30分、鍋の形にしたがい温度が上がっていき、金属の温度は70℃~80℃くらいになった。熱がステンレスを伝わって壁の中に届くという状況が長く続くと、非常に危険なのだそうだ。

 壁とコンロの距離を今までの半分の7.5センチにすると、着火から約30分で木から煙が出て、周りは焦げくさい臭いが漂う。実験後、壁の中にあった木材の一部が焦げていた。これが伝導過熱だ。

 厨房側からだと、炭化の状況が見えなくなるので、目視で確認することは難しいという。


■“伝導過熱”対策は

 総務省消防庁によると、伝導過熱が原因とされる火災は、全国で毎年250件近く発生している。見えない所で起きてしまう伝導過熱による火災。専門家は対策についてこう語る。

 「金属自体、熱を通しやすいので、金属と木材の間にケイカル板や石こうボードといった不燃材料を使うと、こういった現象は防げる」

 現在は、住宅の多くでステンレスと木材の間に石こうボードなどの不燃材料が使われているケースが多いため、防ぐことはできるそうだが、今回の築地のような古い店舗や住宅の場合は、管理会社などに確認が必要だ。