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【混迷】「大きな問題」か「違法ではない可能性」か 百条委が調査報告も…斎藤知事と主張は“平行線” 収束の見えない兵庫県政の「混乱」「分断」

2025年3月9日 9:00
【混迷】「大きな問題」か「違法ではない可能性」か 百条委が調査報告も…斎藤知事と主張は“平行線” 収束の見えない兵庫県政の「混乱」「分断」

 兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑をめぐり、5日、県の対応には「大きな問題があった」と結論づけた百条委員会の報告書が県議会に提出される一方、斎藤知事は「県の対応には問題がなかった」とする従来の見解を繰り返しました。知事と議会の主張は、約9か月にわたる調査を終えても交わることなく「平行線」をたどったまま―。兵庫県政の『分断』と『混乱』はいつ収束するのでしょうか。

■調査報告でおねだり「憶測否定できず」パワハラ「威圧的な行為」

 百条委員会がとりまとめた調査報告書では、告発文書で「おねだり」と指摘された県産品の物品受領について、「一部で事実誤認もあるが、“おねだり”との憶測を否定できない」と結論付けました。

 報告書では事実として、県のPRとしてのカニやスポーツウェアなどの贈答品を、一部の職員が独占しないように知事自身が多くを持ち帰ったことを認定しました。県はすでに物品受領に関する改善策を発表してはいるものの、知事側から贈答品などを求めることの禁止や、贈答品を受け取らない金額等の基準を示すこと、接待についてルールを明確化することなどを提言しました。

 “パワハラ”疑惑についても、職員への叱責は「パワハラ行為と言っても過言ではない」とし、「こんな話聞いていない」と机を叩いて声を荒げたり、付箋を投げたりした行為などを事実として認定し、「不適切な叱責や威圧的な行為」だと指摘しました。

 また、「知事の理不尽な言動によって、職員が斎藤知事に忖度せざるを得ず、授乳室などを知事の控室にしたり、通行できない範囲に公用車などを通行させたりした」と指摘した上で、「風通しの良い職場環境が確立できているか、定期的に検証する仕組みを取り入れる」よう提言しています。

■百条委「不適切な叱責、繰り返してはいけない」斎藤知事「違法性認定されてない」

 ただ、パワハラ疑惑についても、双方の主張は食い違っています。

 百条委員会の奥谷委員長は4日、「パワハラかどうかは別として、不適切な叱責などがあったことは認められると思う。知事として同じような行為は繰り返してはいけないというメッセージ」だと語りました。

 これに対し、斎藤知事は5日、「研修の充実などをしていく」と改善策を話したものの、「今回の報告書で違法性は認定されていない」とし、「厳しく指導はしたが、『業務上必要な範囲』で指導や注意をした」と従来の見解を繰り返しました。

■公益通報「現在も違法状態が継続」指摘も…斎藤知事「違法ではない可能性もある」

 死亡した元県民局長による告発文書への県の対応について、百条委員会の調査報告書では、「外部公益通報に当たる可能性が高く、現在も違法状態が継続している可能性がある」と結論付けました。

 具体的には、
▽斎藤知事が調査を指示する前日に片山元副知事が「元県民局長のメールに『クーデター』などの文言があった」などと証言していることから、調査前に“告発者探し”をしていたこと
▽3月27日の記者会見で斎藤知事が元県民局長が文書を作成したことを公表し、「うそ八百」「公務員失格」と発言したこと
▽文書で指摘されている斎藤知事や幹部職員らが調査を行ったこと
などを挙げ、いずれも「不適切」だとしました。

 奥谷委員長は、「(通報対象の)知事という権力者自身が誹謗中傷と断定して調査方法に疑問持たずに進めた感覚・意識こそが問題の最大の要因」と批判しました。

 これに対し、斎藤知事は「(調査報告書では)違法である“可能性"であり、違法ではない(=適法である)可能性もある。元県民局長の懲戒処分を含め、内容・手続きともに適切である」としています。

■調査報告書に異論「中立性・客観性損なわれた」元副知事「非常に残念」

 百条委員会の調査報告書に対しては“異論”も上がっています。

 NHK党の立花孝志氏に、非公開だった証人尋問の音声データや資料を提供したことを認め、百条委員会の委員を辞任した増山誠県議は5日の本会議で、「(去年9月に)報告書が出る前に不信任決議が可決された時点で、百条委員会は中立性・客観性が損なわれている」と話し、報告書の了承に『反対』しました。

 また、片山安孝元副知事は代理人を通じて、「不公正な委員会運営と感じつつも、私なりに真摯に証言に対応してきたが、非常に残念。“公用パソコン内の文書”の開示を求めたい」とコメントを発表しました。

■斎藤知事「一つの見解として受け止める」今後の県政は…

 双方の主張は調査を終えても“平行線”をたどったまま―。

 斎藤知事は5日、「県政を前に進めることが私の責任の果たす役割」と語る一方で、調査結果は「(議会の)一つの見解として受け止める」と繰り返しました。

 議会が了承した百条委員会の報告書をどのように受け止め、今後どういう行動をとるのか。県議会と共に、県政をスムーズに進めることができるかが注目されます。

(3月5日放送「かんさい情報ネットten.」より)

最終更新日:2025年3月9日 9:00
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