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ワインや炭酸で歯が溶ける“酸蝕歯”とは?

2017年9月8日 19:04
ワインや炭酸で歯が溶ける“酸蝕歯”とは?

 酸性の飲食物が要因で歯が溶けてしまう「酸蝕歯(さんしょくし)」がインターネット上で話題になっている。重症化すると自然に治ることはないという酸蝕歯。どう予防すればいいのだろうか。


■4人に1人が「酸蝕歯」という調査結果も

 最近、食生活の変化からある症状の患者が増えているという。

 櫻田理事長「虫歯とは異なりますが、特殊な形になりますが、歯がくぼんだような形に。歯の表面が溶け出しているわけですよね(医療法人社団・櫻雅会)」

 虫歯ではないのに歯が溶けてしまうという「酸蝕歯」。ワインや炭酸飲料、柑橘(かんきつ)類といった酸性度の高い飲食物に歯が頻繁に触れることが原因の一つだという。

 櫻田理事長「部活動をするようになる中学生くらいから高校生くらいの方が、スポーツ飲料による酸蝕症」「炭酸飲料を飲む頻度がものすごく多いですとか、成人でしたら、長い時間お酒をずっとちびちびと飲んでる、そのまま寝てしまうというのが酸蝕症のリスクになります」「虫歯と違って、広範囲にあらわれるので、自覚症状があらわれるのはちょっと遅くなります」

 東京医科歯科大学非常勤講師の北迫勇一さんの調査では4人に1人が酸蝕歯という結果が出ている。「酸蝕歯」についてネットでは「これ、私じゃん!」「ちびちび飲んじゃってるよ…」「スポーツドリンクもなんだ…気を付けよう」との声が。どう予防すればいいのだろうか。


■ソムリエやすし職人に多い?

 ソムリエの槇田貴久さんは1日に100種類以上、ワインをテイスティングすることもあるという。

 槇田さん「特に赤ワインというのは色素が強いので、結構歯にですね、黒いお歯黒みたいな状態になってしまったりするときがありまして」

 酸性のワインをテイスティングするソムリエや、お酢を口にする機会が多いすし職人などは、特に酸蝕歯になりやすいという。

 槇田さん「たくさんワインを試飲した後って結構、歯がですね、ちょっとこうギシギシいうような感じで結構、歯に負担がかかってる感じっていうのは昔から感じてたんで」

 歯の表面のエナメル質は酸に弱いものの、通常は唾液が酸を中和するため歯が溶けることはない。しかし、酸性の飲食物が長く、もしくは頻繁に歯に触れると、唾液の中和が追いつかずエナメル質が溶けてしまうという。


■歯を20時間レモン汁につけると―

 酸性の飲食物に触れ続けると歯はどうなるのだろうか。抜いた歯を20時間ほどレモン汁につけて、取り出してみると、なめらかだった歯の表面は、ごつごつに。光沢のあったエナメル質が溶けて真っ白になっている。

 また、オレンジやミカンを前歯でかじっていたという70代の女性の歯を見ると、エナメル質が溶けその下の象牙質まで見えているのがわかる。前歯が溶けて短くなった40代の女性は、ダイエット目的で黒酢を飲んでいたということで詰め物の周りの歯も溶けてしまっている。


■予防は「うがい」、歯磨きのタイミングも重要

 重症化すると自然には治らないという酸蝕歯。予防法はあるのだろうか。

 櫻田理事長「飲んだら必ずうがいをしてもらうのが一番の改善策じゃないでしょうか」

 酸性のものを摂取した後はなるべくすぐ、歯全体に水が行き渡るようにうがいをすることで酸を洗い流せるという。酸蝕歯の予防を優先する場合の歯磨きのタイミングは―

 櫻田理事長「急に歯ブラシで磨いてしまうと、柔らかくなってる歯そのものを削ってしまうことになるわけですね。ですから、酸蝕症のみに限定した場合には通常は30分~1時間後の歯ブラシのほうが効果があります」

 また、エナメル質が強化できる歯磨き粉を選ぶことも酸蝕歯の予防につながるという。


■子どものリンゴジュースにも注意

 歯が溶けやすい酸性の飲料や食べ物とはどういったものなのだろうか。専門家によると、酸性・アルカリ性の度合いを示すpHの値では歯のエナメル質が溶け始めるのは5.5という。pHが5.5より小さくなればなるほど酸性度が強く歯が溶けやすいという。

 身近なもので見てみると、コーラ飲料やレモンは強い酸性、そしてスポーツドリンクや小さな子どもも飲むリンゴジュースは、商品によってはワインと同じくらいの酸性度だという。

 体のためにと、飲んだり食べたりしているものが、実は歯には悪影響ということもあるので、酸性のものは摂取したら口をゆすぐことが大切だ。また、他の食べ物を一緒に食べて唾液の量を増やすことも予防につながるという。