新スキー場14年ぶり…人気“復活”のワケ
バブル崩壊後、長く利用者の低迷が続いていたスキーに、人気復活の兆しが見えている。この冬、国内では14年ぶりに新たなスキー場がオープンした。人気復活のワケを取材した。
◆国内で14年ぶりの新スキー場オープン
あいにくの空模様となった連休最終日の8日。関西の伊丹空港から車で1時間半かけてたどり着いたのが、兵庫県に先月オープンしたばかりのスキー場『峰山高原リゾートホワイトピーク』。国内での新しいスキー場の誕生は、実に14年ぶりのこととなる。
大阪や京都方面からのアクセスの良さも魅力のひとつ。そして、このスキー場の最大の特徴が、小さな子どもでも心置きなく雪遊びを満喫できること。3つあるコースの斜面の角度を平均で10度ほどと一般的なスキー場と比べて緩やかにし、西日本のスキー場では最大級というキッズパークも設置している。
峰山高原リゾート・正垣努取締役「みんなで来やすいスキー場をつくりたかったというのが一番」
目指したのは、“誰もが楽しく遊べるスキー場”。実はここに、スキー人気復活のための戦略があった。
◆“スキーブーム”→低迷へ
1970年代後半から1990年代前半にかけて日本を席巻した、いわゆる“スキーブーム”。バブル景気と相まって、国内のスノーリゾートは、どこもかしこも“黒山の人だかり”に。異様なにぎわいを見せたが、バブル崩壊とともにこのブームは終焉(しゅうえん)に向かう。
スキーやスノーボードを年に1回でも楽しんだ人は、最も多かった1998年には約1800万人だったが、2016年には約580万人に激減。3分の1以下にまで落ち込んでいる。
◆“苦境”払う要因は
スノーリゾートにとっては、まさに“苦境”ともいえる現状。しかし、10億円もの大金をかけつくられた兵庫県のスキー場は、当初の予想より1.5倍速いペースで集客を達成している。
その背景にある要因のひとつが、仕事や子育てでスキー場から遠ざかっていた親とその子どもが一緒に楽しめるスキー場であること。
さらに、もうひとつの要因が─
峰山高原リゾート・正垣努取締役「姫路に来られている外国人の方が非常に多いので、そこからちょっと足を延ばしていただいて」
世界文化遺産の姫路城から近くにある立地を生かし、雪になじみがない中国や東南アジアなどから“ついで”の集客を見込んでいる。
◆“逆”の客層で復活のスキー場も
一方、全く逆の客層を見込み“復活”を遂げたところも。新潟県の妙高市で11年ぶりにオープンしたスキー場『ロッテアライリゾート』。そのコンセプトは、山全体をリゾート施設として活用すること。
ロッテアライリゾート・亀田修造代表取締役「最高のプレミアムマウンテンリゾートというのがコンセプトでございまして」
海外資本だけあり、贅(ぜい)を極めた宿泊施設はもちろん、スキーをしていない時も楽しめるようにと設備も充実。中でも雪山を体いっぱいに感じることができるアトラクションが、銀世界を眼下に眺めながら滑走する「ジップライン」。高低差951メートル全11コースからなるスキー場だ。
さまざま楽しめるが、やはりここの最大のウリは、豪雪地帯ならではの上質な“パウダースノー”。この雪を求め、世界各地の“上級スキーヤー”たちが訪れているという。
さらなる外国人旅行者の訪日を見込む2020年を前に、“スキー人気”に明るい兆しが見え始めている。