聖火リレー 2年後の東京大会はどうなる?
東京オリンピックをめぐって、新たな動きがあった。オリンピックの見どころ、聖火リレー。次の東京大会では、東京を15日間走るほか、東日本大震災の被災3県を3日ずつ走る方向で調整されていることが分かった。聖火リレーを通して、どんなメッセージを発信するのか。
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東京大会まであと2年、どんな聖火リレーになるのか、少しずつ見えてきた。4日に新たに分かったことを整理してみていく。
◆日数配分は
全体で47都道府県を115日程度かけてまわる方向で調整。東京は開催都市なので15日間。東日本大震災の被災3県、岩手・宮城・福島は3日ずつ。競技会場が複数ある埼玉・神奈川・千葉・静岡も3日ずつ。その他の39道府県は2日ずつで、被災地が他よりも多くなっている。
◆リレーのコースは
どういうコースをまわるのかは、まだ決まっていないが、参考までに1964年の東京大会のコースを調べた。簡単にいうと、4方向から東京に集まるコースで、鹿児島から(日本海側をまわり)東京へ行くコース、宮崎から(四国を通って)東京に行くコース、千歳から青森まで行き、そこで(日本海側と太平洋側の)2つに分岐するコースの計4つのコースだった。
◆聖火ランナーは?
聖火リレーは私たちも走れたりするのか?詳しいことは、まだ決まっていないが、過去の大会と同様、一般公募される可能性はあるそうだ。「every.」のキャスターの陣内貴美子さんは、オリンピック出場経験があるので、過去に3回走ったことがある。陣内さんによれば、「ゆっくり周りに手を振りながら走ってください」といわれたという。また、トーチは終わった後もらえて、自宅に3本あるそうだ。また、「にこやかに走っているけど、とにかく重い」ということだ。
◆もし聖火が消えたら!?
ソチではこんなハプニングも。走行中に聖火が消えてしまって、ライターでトーチに火をつける場面もあった。このランナーは、本当は係の人から種火をつけてもらわないといけなかったのに、とっさにライターでつけてしまった。
◆トーチは大会ごとに独自のデザイン
トーチの形は各大会で同じではなくて、それぞれの開催地で独自にデザインされている。いまのような聖火リレーが初めて行われたのは、1936年ベルリン大会。アイデアを出したのは、ヒトラーではないかという説もある。
前回の64年東京大会のトーチには、オリンピックのマークと1964年の文字が刻まれている。このトーチを作ったのは、現在もある日本工機という日本のメーカーで、いろんな実験を重ねて、消えないトーチを開発したという。
実験映像では、実際にトーチに火をつけると、風が吹いていても消えることはない。そしてトーチを振り回してみても全く消えない。また、水に入れても全く消えることはなかった。
◆最終ランナーは誰に?
2020年の大会で、どんなトーチになるかはまだ分からないが、聖火リレーで一番の注目は誰が最終ランナーなのかということ。最終ランナーには、開催国が伝えたい思いが表れている。
アトランタ大会の最終ランナーはボクシング金メダリストのモハメド・アリさんだった。アトランタは黒人差別解放運動に力を尽くしたキング牧師のふるさと。アリさんは金メダルをとったにもかかわらず人種差別を受け、苦い経験を味わったアスリートだった。
そして、64年の東京大会が選んだ最終ランナーは坂井義則さんだった。当時坂井さんは早稲田大学の学生、いわば無名のランナーだ。広島に原爆が投下された日に広島で生まれた青年で、日本が敗戦から復興を遂げたことを世界に示す象徴的な人選だった。
2020年、東京大会での最終ランナーは誰になるのか。日本が世界の人々にどんなメッセージを伝えるのか、私たち自身も主体的に考えながらその日を待ちたい。