高額転売相次ぐ「赤いサイロ」 違法性は?
平昌オリンピックでカーリング女子チームが食べて話題となった「赤いサイロ」。それをきっかけに注文が殺到し、今も入手困難な状態が続いている。こうした中、インターネットを通じて高値で転売されるケースも相次いでいる。こうした転売、問題はないのだろうか?
■「赤いサイロ」とは
平昌オリンピックから2か月が過ぎたが「赤いサイロ」の人気は健在。「赤いサイロ」とは、カーリングチーム「LS北見」の地元、北海道北見市で80年以上続く菓子店「清月」が販売するチーズケーキで、1996年に販売が開始された。ネーミングの由来は、北海道の農地で牧草をためておく「サイロ」という倉庫からとった。定価は1箱5個入りで、税込み840円。
それが転売されてどこまで高値になっているのか-。
フリーマーケットアプリでは1900円や2000円。ネットオークションだと2500円など、定価の2倍から3倍で取引されていて、先月は4倍の値段で転売されていた。中身がない箱だけを300円で出品している人もいた。
■「赤いサイロ」が販売されているところは
手に入るところが少なくて北海道では、北見市の直営店、空港や百貨店など9か所、北海道以外で唯一手に入るのが、東京のアンテナショップ1軒だけとなっている。現在、東京のアンテナショップがどういう状態か取材すると、開店から2時間後に行ったが「赤いサイロ」すでに売り切れていた。
「一度食べてみたいと思って来たんですけど、買えなくて残念です。びっくりしました」
こちらの店では、1日50個限定、1人につき1箱までと制限をつけて売っているが、いまだに毎朝、行列ができているそうだ。
北海道どさんこプラザ、川合洋平店長「開店直後に完売というかたちになっています。50個、瞬く間に完売」
■高値で転売に違法性は
転売の話で言うと、最近だと京都の百貨店で100体限定で販売された人形が、1人の男性によってすべて買いしめられたことがあった。高値で転売することに違法性はないのかということだが、例えば、300円で買った物を1000円で売ったら700円の利益になる。これはいいのだろうか?
消費者庁によると、盗んで売っていればもちろん犯罪だが、ちゃんとお金を払って購入して転売していれば、違法ではない。たとえ高くても、買い手も納得して買っていれば取引が成立したのだということになる。
■高額転売を防ぐ方法は
こうした転売を防ぐ方法がないのか。高額転売などに詳しい「骨董通り法律事務所」の福井健策弁護士に聞いた。
よくお店で「お一人様1個まで」などと書いてある商品があるが、これと同じように「転売目的の購入は禁止」とはっきり明記して、購入したい人は、この条件に同意して買うかたちになる。つまり、この条件に同意して買ったのに、転売してしまえば契約違反。そして、転売目的なのにそうでないと偽って購入すれば、悪質なケースの場合、購入者に「詐欺罪」が適用される可能性もありうる。転売を禁止する法律はないため、福井弁護士は、転売を防ぐためには、お店側が「購入条件」をつける手立てがあると話している。
この「赤いサイロ」を製造している「清月」は、「転売目的でのお買い上げはご遠慮ください」と表示を出して売っている。場合によっては罪に問われる可能性もある。
小さな会社で、もともと供給量が少ない「清月」の担当者は、「本当に食べたいお客様に1人でも多く届けたい」「転売によって北見の印象まで悪くならないか心配」と話している。
消費者にとってみると、高いお金を出してでも買いたいという人がいるかもしれないが、作り手は、適正な価格でできるだけ多くの人へ自分の製品を届けたいと努力して知恵を絞っているもの。こうした背景を知った上で賢い消費者になることも大切だ。