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社会
2018年4月26日 20:09

人手不足も解消“ドローン宅配”実現なるか

インターネット通販が拡大する中、宅配便のドライバーなど物流業界の人手不足が問題となっている。こうした問題の解決策の一つとして期待されているのが、ドローンによる宅配。お弁当や調味料も、注文してからあっという間に届く。“ドローン宅配”は実現するのか──。

◆“ドローン”活用は身近に

都内の一軒家の庭から飛び立った「ドローン」が、屋根の上までどんどんと上昇していく。操縦している男性が家主に見せていたのは、タブレット端末。そこに写っていたのは、この家の屋根の様子だった。

実はこれ、屋根の点検。修理が必要な箇所がないか、ドローンで撮影していた。人が上っての点検は2時間近くかかるが、ドローンでの点検はわずか10分。メリットはその早さ以外にも。

屋根職人・石川商店 石川弘樹代表「実際に(屋根に)上って落ちる危険がなきにしもあらずなので、(ドローンを使うことで)我々の安全が確保される」

屋根などからの転落事故が年間800件以上(厚労省調べ)起きている中、ドローンを使う事で安全に点検できるという。

様々な場所で活躍しているドローンに、今、新たな期待がもたれている。

◆国内初“ドローンで配達”実験

静岡・藤枝市の市街地から10キロ以上離れた山あいの集落でこの日行われていたのは、藤枝市がインターネット通販大手の「楽天」と協力し、注文を受けた商品を個人の住宅にドローンで直接、配送する、国内初の実験だ。

使われているドローンは、GPSと搭載カメラによる画像認識を組み合わせることで、指定された場所まで正確に飛ぶことができるという。

ここに住んで15年ほどになる下田さん家族は、醤油などの調味料や子どもが使う文房具を注文した。すると、下田さんの自宅から1キロほど離れた配送拠点に見立てた場所に注文が入る。ドローンの操作はタブレット端末で、ボタン一つで配送先まで自動で飛んでいく。

あっという間に飛び立ち、下田さんの自宅の上空に到着したドローン。注文から5分ほどで自宅の庭にゆっくりと降りてきた。そして、ピンク色の箱を切り離す。箱を開けると、注文したものが届いていた。

下田さん「(普段の買い物は)車で片道20分以上かかって、長いときは往復1時間かかります。注文してから、あっという間にきてくれて、本当にうれしい」

このような過疎地で、買い物に行くことが特に大変なのは、高齢者だ。85歳の片山さんもその1人で、普段は娘が代わりに買い物に行ってくれるという。

そんな片山さんも、あるものを注文。同じく5分ほどで届いたのは、コロッケとお弁当だった。

片山さん「別に(お弁当の)形も崩れていません。上等です。ぜひ、実現にもってきていただけたら、ありがたいと思います」

初めてのドローンでの配送に、とても満足そうだった。

◆“ドローン宅配”商業化への壁とは

期待が高まるドローンでの配送。日本でまだ商業化されていないのは、「ある理由」が。

現在のルールでは、原則、ドローンを飛ばせるのは、飛ばす人の目で機体を確認できる範囲内だけだが、今回は山があるため、途中で機体が見えなくなってしまう。そのため、国の承認を得た上で「補助者」と呼ばれる監視役を置き、操縦者の代わりに飛行状況や周囲に人が立ち入ってこないかなどを見る必要がある。

楽天ドローン事業部・ジェネラルマネージャー 向井秀明氏「いまのまま、補助者が必要ですと、補助者が並走するか、かなりの数の補助者を配置しなければならない。(ドローンでの配送には)そういった足かせがある」

補助者が必要になると人件費がかさむことから、ドローン配送サービス実現への壁となっているという。

◆国土交通省が“新ルール”、実現は──

そこで、国土交通省は議論を重ね、先月、新たなルール案をまとめた。飛ばす人の目で機体が確認できなくても、人が少ない山間部や離島などの高度150メートル未満の範囲に限って、機体にカメラをつけて周囲の状況を把握できるようにすることなどで、補助者なしでドローンを飛ばせるようになるのだ。

今年中にも人が少ない地域で解禁される見通しで、2020年代には都市部でも補助者なしでドローンを飛ばせるようにしたい考え。

ドローンに詳しい東京大学・航空宇宙工学専攻の土屋武司教授は、技術の進歩のほかに、私たちがドローンへの理解を深めることが必要だという。

土屋武司教授「徐々に人の住んでいるところにドローンが使われるようになってきて、ドローンに対する認識も高まり、さらに安全性も高まった上で、そこで初めてドローンが自由に人の住んでいる住宅地を行き交うような物流が始まるんだろうと思います」