歌舞伎町の“様々な事情”に応える深夜薬局
東京・新宿の歌舞伎町に、深夜営業をしている薬局がある。どんな人が訪れるのだろうか。そして、その“事情”とは――
深夜3時近くの歌舞伎町。“ニュクス薬局”に来店してすぐにエナジードリンクを手に取る人がいた。ニューハーフクラブで働く常連客だ。店主の中沢さんと常連客が、2人の出会いをこう話す。
中沢さん「オープン早々にローション頂戴って」
常連客「なんか記念に頂戴って」
中沢さん「マジか!みたいな」
この常連客は、特に用が無くても週4日は会話しに訪れるという。
常連客「気さくないろんなこと、病院だといちいち聞けないようなことを相談できるから良いところ」
夜から朝にかけて営業している新宿・歌舞伎町のニュクス薬局。同じビルにはホストクラブなどが連なる。
午前4時過ぎ、今度は処方せんを手にやってきた客が現れた。昼夜掛け持ちで仕事をしていて、歌舞伎町周辺でナイトワークをしているそうだ。ここに通い始めて2年になるという。その理由とは――
客「躁鬱があって。20代前半とか新卒の時の会社でなっちゃったから」
上司からのパワハラが原因で発症。仕事を辞め、一時期症状は落ち着いたが、奨学金などの返済のため仕事を再開。昼夜掛け持ちで働いたことで躁鬱が再発してしまったという。中沢さんは、客から丁寧に病状を聞き取る。
中沢さん「特にその後は?」
客「一時、一瞬ものすごい差があってヒドいことになったけど、原因がちゃんとこれだろうなってわかったから」
以前は大手の調剤薬局に勤めていた中沢さん。独立して深夜薬局を開いたことで、客ひとりひとりと向き合う時間が増やせたという。中沢さんはこう語る。
中沢さん「メンタル系の感じだと、薬出すだけでは根本から治るものではないので」
客の約7割が女性。生理不順や性病など、周囲には言い出しにくい相談も多いという。深夜薬局は今日も様々な事情に応えていく。
【the SOCIAL viewより】