事件直後の、大学の教室の様子。前の方に進みながら、何かをつかんでは投げ、つかんでは投げる女。他の学生たちは女を避けるように遠ざかっていきます。女は、この直前にハンマーを振り回し、次々と授業を受けていた学生を殴ったとみられています。

自称・韓国籍のユ・ジュヒョン容疑者（22）は、教室でハンマーを振り回し学生にけがをさせた疑いで逮捕されました。法政大学によると、社会学部の学生だということです。

現場に居合わせたという学生が当時の状況を語りました。

犯行を目撃した学生
「（教室は）本当に混乱状態でした。パッと見たら女性がハンマーを持っていて、その後一番後ろの学生を殴り始めた。ヤバい、ヤバいとみんな逃げ回るような感じ」

事件直後に動画を撮影した学生は…

動画の撮影者
「頭から血を流して手で押さえていて、着ていた洋服も赤く染まっていた。避難してきた人たちがたくさん立っていて、手を震わせて見ていた」

警視庁によると、午後4時前に法政大学の職員から「学生1人がハンマーを振り回し負傷者が出た」との110番通報があったといいます。

通報からおよそ30分後に撮影された映像には、消防車両、救急車、パトカーなどが連なり、キャンパス内は物々しい雰囲気となっていました。建物の入り口には救急隊員らが待機し、デッキには学生なのかその様子を見つめる人たちの姿も。

現場は、東京・町田市にある法政大学・多摩キャンパス。経済学部や社会学部の学生などおよそ9000人が通っていて事件は、社会学部が使う5号館で起きました。その教室で起きたとみられる事件。何があったのでしょうか。

学生によると、300人ほどが入れる教室で、当時100人ほどが授業を受けていたといいます。

犯行を目撃した学生
「授業が始まって15分ほどたったくらいなので、振り向いた時に女性が立っていて、なんで立っているんだろうとパッてみたらハンマー持っていて、なんでこの人ハンマー持ってるんだろうって思った瞬間に殴り始めて」

目撃者によると、ユ容疑者は教室の後ろの方に座っていて、突然、立ち上がり、ハンマーを取り出したといいます。それから近くに座っていた学生たちを無表情で殴り始めたということです。

後頭部などを殴られてけがをしたのは、社会学部の学生8人。病院に搬送されましたが、全員意識はあるということです。

授業をしていた教員に取り押さえられ現行犯逮捕されたユ容疑者。凶器とみられるハンマーも見つかっているということです。

――凶器のハンマーは？

犯行を目撃した学生
「木でできていてT字のハンマー」

――どのくらいの大きさ

犯行を目撃した学生
「普通の大きさ」

学生を殴った後のユ容疑者の様子については…

犯行を目撃した学生
「ハンマーがすっぽ抜けて、なすすべがなくなって、自分のか、人のか携帯電話をバンって下に投げて素手で生徒を殴ってやっと落ち着いて、教授の方が来られて普通に会話して、教授と学生という感じで（教室を）出て行きました。普通に教室を出て行ったので、その辺も不気味だなと」

容疑を認めているというユ容疑者。捜査関係者によると、動機として供述したのは“仲間とのトラブル”だといいます。「仲間のグループから無視されて鬱憤（うっぷん）がたまったので、学校にあったハンマーで殴った。いじめられてモヤモヤしていた」などと、供述しているということです。

学生によると、ユ容疑者は教授の授業のアシスタントをする立場でもあったといいます。

法政大学の学生
「プリント配布や出席表の配布とかを手伝うアシスタントの学生がいて、それに任命されている人らしいです」

事件当時、キャンパスでは授業やテストが行われていたほか、この日が卒業論文の提出期限だった4年生もいたとみられます。

当時多摩キャンパスにいた法政大学の学生
「そんなことが起きたんだみたいな、怖いですよね」
「午後5時10分に授業が終わるが、その前後に（大学からの）アナウンスが流れた。一応事件が終わったよ、逮捕･確保されたと。それで体調不良とか起こさないようにみたいな内容」

法政大学は10日夜、コメントを発表しました。

法政大学
「被害にあわれた方々や、今回のことで不安を感じておられる学生や教職員のケアに取り組むとともに、警察の捜査に協力し、事態の把握に努め、キャンパスの安全を図ってまいります」

学生同士の人間関係のなかで起きたとみられる事件。警視庁はユ容疑者に事情を聞くとともに、事件に至った経緯を詳しく調べています。

※1月11日（土）午前0時10分（金曜深夜）放送　『news zero』より