対策なければ約42万人死亡?防ぐためには
新型コロナウイルスへの対策がとられなければ、日本国内で約42万人が死亡するという試算が明らかにされました。私たちの生活や命を守るため、私たちができることを改めて整理します。
■対策なければ国内で約42万人が死亡!?
4月15日、厚生労働省のクラスター対策班の北海道大学・西浦博教授は、人との接触を減らすなどの対策を行わないと、人工呼吸器などが必要となる重篤患者は、流行の終息までに約85万人にのぼるとの推計を発表しました。
また、流行のピーク時に人工呼吸器が足りなくなり、その結果、重篤患者の49%にあたる、約42万人が死亡すると予測しました。
「42万人死亡」というシミュレーションを聞くと驚きますが、西浦教授は「今は国家の重大局面にさしかかっている。今のままではまずい」と危機感をあらわにしました。
■改めて整理:「接触」の定義とは?
私たちは今、人との接触を8割減らすことを求められています。
しかし、「接触」といっても、接触する時間なのか?距離なのか?と曖昧なまま。クラスター対策班にも質問が寄せられていたそうです。
それを受けて専門家は、接触の定義も明らかにしました。接触には「医学的接触」と「社会的接触」の2種類あるということです。
「医学的接触」は咳やくしゃみによる飛まつ感染や、ボディータッチなどの接触感染。今、私たちが8割減らそうとしているのは、「社会的接触」の方を目安にしているということです。これはちゃんと「数えることができる接触」で、ただすれ違うだけの接触ではありません。例えば、1日10人に会っていたなら2人に減らそう、ということです。
この社会的接触の目安は「2メートル以内の距離で30分以上会話」することだそうです。なぜ2メートルなのかというと、確実に飛沫が届かない距離だから。このことをソーシャルディスタンス(社会的距離)と言っています。
2メートルは実際にはかなり長く、意識しないと取れない距離だということを心得てください。
■専門家が語る5つのポイント
そんな中、クラスター対策班の西浦教授が、人との接触を8割減らす生活のなかで気をつけるべき5つのポイントを明らかにしました。
【気をつけるべき5つのポイント】
(1)感染リスクの高い場所を避ける
(2)向かい合って食事をしない
(3)リモートワーク、時差出勤を
(4)公園で「井戸端会議」禁止
(5)ジョギングは距離あけて
(1)感染リスクの高い場所を避ける
スポーツジムやライブハウス、夜の歓楽街など「密閉空間」がハイリスクだと分かっています。東京の居酒屋で感染した可能性のある人が、西浦教授たちが把握しているだけで10人以上いるということです。ですから、ハイリスクの場所には自分で行かないことが重要です。
(2)向かい合って食事をしない
向かい合って食事をして30分以上一緒にいただけで感染した例があります。これは飛沫が食事に落ちるからということです。会話をしなくても、ダメ。会話はもちろん飛沫が飛びますが、食事だけでも唾液が飛んで、それが食べ物につくリスクがあります。
だから、向かい合って食事をするのはリスクがあることを知る必要があります。
(3)リモートワーク、時差出勤を
週5日間の勤務であれば、出社を1日にする。5分の1なので、「8割」の目標を達成します。例えば、部署ごとに曜日を分けて出勤する、という方法が考えられます。そして、どうしても出勤せざるを得ない状況が続く場合は時差出勤にするということです。これにより、少なくとも一定のリスクは軽減できる可能性があります。
(4)公園で「井戸端会議」禁止
子供を公園で遊ばせるのは問題ありません。しかし、その傍らで親が井戸端会議をすることはダメだということです。
(5)ジョギングは距離をあけて
オープンエアでジョギングするの全くかまわないです。数人で行っても大丈夫ですが、その場合は距離をあけて走ってくださいということです。ただ、その後一緒にビールを飲みに行ったり、ランニングステーションなどの休憩所で長時間会話するのはダメだということです。
5つのポイントに共通するのは「メリハリが大事」だということ。基本は、3つの密を避けるというメリハリです。これまでリスク高いことが分かっていますので、それをひとりひとりが守って行動を変えていくことを西浦教授は呼びかけていました。
お伝えしたような最悪の場合の推計が出ると、恐怖心もあって殺伐としてしまいます。こんな時こそ、スーパーに行ってもエスカレーターに乗る時も譲り合って、みんな優しくなっていきましょう。
※2020年4月15日放送 news every.「ナゼナニっ?」より