「配属ガチャ」勤務地や職務は“運次第”の不安 ミスマッチで早期離職も
主に学生が「配属ガチャ」と呼ぶ、企業に入社する際、勤務地や職務内容などがわからずに、不安を感じることについて調査結果が発表されました。
「配属ガチャ」とは、希望する勤務地や職種に配属されるかわからないことを、スマホゲームなどでアイテムを引く「ガチャ」にたとえ、「運次第で引いてみないとわからない」といった不安などを表した言葉で、学生を中心に主にネット上などで使われています。
株式会社マイナビは、来年春に卒業予定の大学生を対象に行った調査をもとに、いわゆる「配属ガチャ」をめぐる意識について15日、発表しました。
まず「入社後の配属先は勤務地、職種ともに自分で適性を判断して、選びたい」と答えた学生が54.9%、「勤務地は自分で選びたい」が30.8%、「職種は自分で選びたい」が7%、「どちらも、適性を見て会社に判断してほしい」はわずか7.3%でした。
また「行きたくない会社」について聞くと、最も多いのは「ノルマがきつそうな会社」(37.4%)ですが、「転勤の多い会社」と答えた学生は26.6%で、5年前の18.1%から8ポイント以上増え、転勤に抵抗を感じる学生が増えていることがわかりました。
マイナビは、学生が勤務地にこだわる背景について、男女問わず共働き希望が増えていること、安定志向、コロナ禍のリモートワーク浸透で、勤務地や働く場所への考え方が変化したことなどを挙げました。
また、調査では、86%の学生が「入社前に配属先を知りたい」と答えましたが、企業を対象にした別の調査では、勤務地や職務内容を「入社式より前に伝える」はおよそ6割にとどまり、学生の「知りたい時期」と実態にずれがあることもわかりました。
こうした結果について、マイナビは、企業側は経営方針などを踏まえ、新入社員の勤務地や職務内容を決定するケースが多いが、学生からすると、そのプロセスがブラックボックスのように不透明なものと映り、内定後、入社するまでの半年から1年近くの間に不安が増し、結果的に内定辞退や早期退職につながっていると分析しています。
マイナビは「配属ガチャ」ととらえられるような学生と企業とのミスマッチを防ぐために、次のように提案しました。
学生は、勤務地や職務の希望を深掘りして、企業に伝える。企業はそれを聞く姿勢を示した上で、配属決定の過程や時期を学生に説明する。希望に沿った配属でない場合でも、なぜそうなったのかなど、丁寧な対話で透明性を示し、学生の不安を払拭することが重要だと指摘しています。