猪口邦子議員の自宅で火災、2人死亡 消火までに8時間以上…原因は?
27日、猪口邦子参議院議員が暮らす部屋で火事があり、部屋からは意識不明の女性1人が救出されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。また、性別不明の1人の遺体も見つかりました。
火事があったのは6階建ての最上階で、直後に撮影された映像では部屋が丸ごと炎と煙に包まれていました。ポンプ車など37台が出動し行われた消火活動。辺りはマンションなどが建ち並ぶ住宅密集地で、警察に誘導され避難する人の姿も見られました。
火事があったマンションでは猪口議員と夫、そして2人の娘の4人が暮らしていました。出火当時、猪口議員と二女は外出していて無事。部屋には夫で東大名誉教授の孝さんと長女(33)がいたとみられていますが今も連絡がとれない状態で、亡くなったのはこの2人とみられています。警視庁は遺体の身元の確認を進めています。
火を消し止めるまで8時間以上かかり、2人が亡くなった今回の火事。元小田原市消防本部で火災の原因調査を担当していた永山氏は…
元小田原市消防本部火災調査官 永山政広氏
「一般のマンション火災だと大体1~2時間くらいである程度は鎮圧。場合によっては鎮火までできるはず。時間がかかったということは、かなり燃え広がりが激しかった。やはり6階という高い位置は初期消火もしづらいし、消防隊が現場へ到達するにも時間がかかる」
原則、7階以上の建物には消火用の水を送る設備の設置が義務づけられていますが、今回のマンションは6階建て。この設備がなかった可能性があるといいます。
その場合、消防隊員がホースを持って階段を上り、消火を行うため時間がかかるといいます。
さらに…
元小田原市消防本部火災調査官 永山政広氏
「現場も周辺の道路が狭いようなので、はしご車のような大型車両もなかなか出入りしづらいのかなと。6階の高さを消火活動するのは非常に厳しい状況だったと思います」
近隣住民からもこんな証言がありました。
近隣住民
「消防隊が30分くらい消火活動しない。できないんですよ、はしご車が入らないから。手の打ちようがなかった、燃え広がっていったんです」
また、現場が最上階で1世帯のみのフロアだったことも延焼につながった可能性があるといいます。
元小田原市消防本部火災調査官 永山政広氏
「今回のケースの場合、6階部分が1つの住戸でつながっていたのでさえぎるような壁がなかったのではないか。比較的、普通のマンションよりは燃え広がる範囲が広くなってしまった」
今回の火災はなぜ起きてしまったのでしょうか。考えられる1つの要因としては…
元小田原市消防本部火災調査官 永山政広氏
「現場の焼け方を見るかぎり、外から火が入ったというよりは部屋の中で出火し、全体に燃え広がった。ベランダのようなところで燃えたとしても火は入りづらい構造だと思う。室内で出火した確率が高い」
また、被害を拡大した初期消火の遅れにはこんな要因もあったのではないかと別の専門家は指摘します。
元東京消防庁麻布消防署長 坂口隆夫氏
「発見・通報が遅かったこと、火元の方の通報ではなかったこと、お住まいの方が早く発見して、早く119番通報して、消火器等で初期消火をしていたらボヤで済んでいたかもしれない。それができなかったのは、何か理由があったのではないか」
夫の孝さんは足が不自由だったとみられています。
現場では28日、警視庁の実況見分が行われました。出火の原因などを詳しく調べています。